北朝鮮情勢争点化に「?」 首相、「国難」主張し支持集め 安保、小池氏と差なく

西日本新聞

 安倍晋三首相(自民党総裁)は衆院選の争点として北朝鮮情勢を強調している。核実験や弾道ミサイル発射が相次ぐ現状を「国難」と主張し、「乗り越えるために国民の声を聴く」と訴える。野党は、米朝の非難の応酬が続く中での解散を「政治空白を招く」と批判。国民の危機感をあおるかのような選挙手法に疑問の声も出ている。さらに、首相と希望の党は、安全保障に関する考えが近いとみられ、争点化が難しくなっている。

 「北朝鮮の核、ミサイルは、わが国にとって戦後、最も大きな脅威ではないか」。菅義偉官房長官は1日、札幌市での講演で語気を強めた。

 8、9月に北朝鮮が2度にわたって発射した弾道ミサイルは、日本上空を通過。東日本地域では全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴り響いた。首相は「脅しに屈してはならない」と訴え、国際社会が協力して圧力を強化する必要性があると主張。米国との連携が強化されているのは、2年前に成立した安全保障法制の成果だと強調している。

 首相は、街頭演説の冒頭に北朝鮮問題を語る。自民党ベテラン議員は「危機が高まれば『やっぱり自民党しかない』となる。『北風』が吹けば吹くほど、政権与党には有利だ」と打ち明ける。

 民進党は、安保法制の廃止を求めているが、憲法違反の疑いがあるというのが主な理由だ。前原誠司代表は、北朝鮮への圧力路線、日米同盟強化に理解を示し、「政府に協力するのはやぶさかではない」と語る。

 民進との合流を進める希望は「現実的な安全保障政策」を掲げるが、具体策はまだ見えない。ただ、小池百合子代表は安保法制に賛成の立場。第1次安倍政権で防衛相を務めたこともあり、首相も9月25日の記者会見で「安全保障への基本的な理念は同じだろう」と述べている。

 衆院選の軸となる自民、希望両党に北朝鮮対応についての明確な差異は見えにくい。軍事問題に詳しいジャーナリスト布施祐仁さんは「北朝鮮情勢について大いに議論すべきだが、その選択肢が狭まってしまうのではないか。希望の公約が発表され、安倍さんと小池さんの考え方が似ていた場合、争点がぼやけることは十分あり得る」と指摘する。

 そもそも「国難」と言うほどの北朝鮮の脅威への対応は選挙の争点になるのか。ある野党関係者はこう語った。「国民の安全を守るため、北朝鮮対応はしっかりやるのが当たり前。与党も野党もなく、争点にはならないのではないか」

=2017/10/02付 西日本新聞朝刊=

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