老いた親と上手にコミュニケーションを取る方法がわかる!

西日本新聞

 超高齢社会となった日本。介護の現場だけでなく家庭でも高齢者への対応に疲れ、虐待するといった暗いニュースが目につくようになっている。本書では「老化の正体」を正しく理解することから始まり、高齢者のよくある困った行動にどう対処していけばいいのか、解決法まできちんと明示している。10万人以上の老人と接してきた現役の医師が教える、高齢者と上手にコミュニケーションを取る方法とは。

 「老人の困った行動3大ド定番」「いじわる」「周りが大迷惑」「見ていて怖い、心配……」の4章で構成されている。各章の中で節ごとに「老人のよくある困った行動」として具体的な事例を挙げ、なぜそうした行動をとってしまうのか、じつは困った行動のほとんどが老化によって引き起こされていることを「老化の正体」としてていねいに説明している。また各節の最後には箇条書きで対処法や解決策が示されていて、読みやすく得心しやすい。

 ちなみに第1章の「困った行動3大ド定番」とは、都合の悪いことは聞こえないふり、突然「うるさい!」と怒鳴る、同じ話を何度もする、だ。こう聞くと「あるある」と感じる人も多いと思う。たとえば聞こえないふりというのは、聴力に関係している。老化で高音が聞こえにくくなり、嫁の高い声は無視しているように見え、低音の夫のいうことばかり聞いているように見える、ということだ。解決策としては低い声でゆっくり話すこと、ニュース番組のキャスターのように話すこと、となっている。

 「取扱説明書」というタイトルは少し過激に感じるかもしれないが、本書は高齢者の困った行動の原因と解決策をきちんと明示した至極真面目な本だ。けっきょく、老人の行動にイライラしてしまうのは、「老化」についてよく理解していないからなのだ。人付き合いの基本である、相手の立場を理解することから始めなければいけない。老いた親のいる人、高齢者とのコミュニケーションに困っている人はもちろん、これから高齢者になる人、そして高齢者自身も、読んでおいて損はない良書であろう。


出版社:SBクリエイティブ
書名:老人の取扱説明書
著者名:平松 類
定価(税込):864円
リンク先:http://www.sbcr.jp/products/4797392449.html


西日本新聞 読書案内編集部

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