鬼教官・風間公親の刑事時代を描いた『教場』シリーズ、待望の最新刊!

西日本新聞

 『このミステリーがすごい! 2014年版』にて第2位にランクインした、長岡弘樹『教場』シリーズ第三弾。警察学校を舞台とした作品で、シリーズ第二弾『教場2』では風間教場の生徒の卒業でラストが締められた。読者から「風間教官が刑事だったころの話も読んでみたい」という声が寄せられるほど人気の高いシリーズであり、第三弾は読者の期待に応えた教官・風間の刑事時代の物語となっている。

 誰が事件を起こしたのかではなく、事件はなぜ起きたのかを新米刑事が追う警察ミステリー。過去シリーズ同様、本作も短編集で、事件の模様が冒頭に描かれる。各話の主人公はいずれも指導官・風間の下についた新米刑事たちで、風間の指導を受けながら事件の謎を解き明かしていく。

 風間は彼らを恫喝するようなことはない。だが「こんな謎も解けないなら、交番勤務からやり直せ」と静かに言い放つ。風間道場の卒業生たちは例外なくエース級の刑事として活躍している中、道場の落第生というレッテルを張られやしないかと不安で仕方がないのもうなずける。

 緊張が走る現場に華を添えるのが、事務職員の伊藤幸葉の存在。刑事課長よりも先に風間の机を吹き始めたり、園芸を趣味にしている風間に感化され『栽培入門』の本を読んだりと、風間に純粋に憧れる彼女の愛らしさは、新米刑事に束の間の休息をもたらす。同じくほっとする読者もいることだろう。

 テンポよく読める短編だが、最終話のラスト3ページで衝撃の事件が風間に襲い掛かる。これまで のシリーズで“風間はなぜ警察学校の教官に転身したのか”は語られることはなく、すっきりしないファンも多かった。そうした不満を払しょくする内容となっており、風間の刑事としての覚悟と掲げる正義にも愕然とさせられる。ファンの期待を裏切らない作品であることは間違いない。また、本作が風間シリーズ初である読者には『教場』『教場2』を「続けて読みたい」と思わせるものとなるだろう。


出版社:小学館
書名:教場0 刑事指導官・風間公親
著者名:長岡弘樹
定価(税込):1,512円
リンク先:http://www.shogakukan.co.jp/pr/kyojo/kyojo0/


西日本新聞 読書案内編集部

PR

文化 アクセスランキング

PR

注目のテーマ