注目区を行く・鹿児島3区 原発の争点化避ける

西日本新聞

 「日本一になった鹿児島の和牛は大ブランド。帰りのお土産に欲しいくらい」。13日正午すぎ、鹿児島県薩摩川内市のJR川内駅前。九州入りした首相安倍晋三はご当地の話題に触れ、約700人の聴衆を和ませた。

 安倍の傍らには、白のワイシャツに「必勝」の鉢巻きをした自民前職小里泰弘。「1票の格差」是正に伴う県内小選挙区1減で、慣れ親しんだ旧4区から移った。3区最大の都市、人口9万6千人の薩摩川内市を押さえなければ勝利はない。市内には九州電力川内原発がある。

 6日の記者会見。原発への考え方を問われた小里は「正確に言う」と事前に用意した文書を読み上げ、原発依存度を下げる政策などを列挙した。原発の必要性も強調しない。脱原発の批判もしない。街頭演説では時折「安全の上に安全を重ねた原子力防災の確立を」とだけ訴える。

 「選挙区が変わって厳しい選挙だ」。13日、来援した安倍が壇上から小里への支持を訴えた。19分間熱弁を振るった安倍も、一緒に高々と手を上げた小里も、原発には触れなかった。「川内原発は安全に動いてる。論争は必要ない」。地元県議がつぶやいた。

 「今日、明日ゼロじゃなく、将来に向けた工程表をつくるということ」。希望前職野間健は3日、薩摩川内市で開いた会合で、集まった後援会幹部ら約130人に理解を求めた。

 希望は2030年までの「原発ゼロ」を公約に掲げる。野間は結党メンバーだが、もともと原発容認派。無所属で自民新人を破った前回、原発推進の保守票や電力労組を含めた連合鹿児島など幅広い支持を集めた経緯がある。

 波紋は小さくない。陣営関係者は旧来の支援者に「原発ゼロでは、野間はやれん」と詰め寄られた。10日の出陣式で野間は、壇上の電力労組幹部らを前に「(希望は)都市部の議員ばかり。私たちの地元の原発のことを分かっていない人が多い」と強調した。

 13日、党本部から陣営に連絡が入った。代表の小池百合子が「16日に薩摩川内に入る」との知らせだった。陣営幹部は「原発は地元で賛否両論。あえて争点化したくない。原発ゼロを封じてくれるだろうか」と気をもむ。

 激しく競り合いながら原発論争を避ける前職2人。共産新人山口勇太だけが「原発と人類は共存できない」と明快に主張する。

 =敬称略、随時掲載

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 与野党の論戦が続く衆院選。注目の選挙区の攻防を追う。

=2017/10/14付 西日本新聞朝刊=

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