比例九州、定数減で激戦 公明、4議席死守へ野党に秋波 共・社「新党に票奪われる」警戒

西日本新聞

 22日投開票の衆院選で、比例代表九州ブロック(九州・沖縄8県)の票争奪戦が熱を帯びている。同ブロックの定数は、2014年の前回から1減して20。「4議席死守」を至上命令とする公明党は、選挙協力を結ぶ小選挙区の自民党候補に今まで以上に比例票を回すよう求め、水面下で野党候補にも「取引」を持ち掛ける。一方、二つの新党は初の比例“参戦”で議席獲得を目指しており、共産党、社民党といった「老舗」野党も焦りを募らせる。

 「私の存在が今、風前のともしびまで追いやられている状況でございます」

 公示後の平日、福岡県古賀市の菓子メーカー食堂で、同ブロックに立候補した公明前職は言葉に悲愴(ひそう)感を漂わせ深々と頭を下げた。

 比例代表は、全国11ブロックで得票に応じた議席が各党に割り当てられ、名簿登載順に当選者が決まる仕組み。前回、公明は九州ブロックで103万票を積み上げ「悲願の4議席」を初成就。名簿4位に登録されていたこの候補者は19番目で当選した。今回も、党の名簿登載順位は4位だ。

 公明は4議席維持を掲げて今回の集票目標を116万票に引き上げた。だが党福岡県本部関係者は「前回もめいっぱい背伸びして出した数字。ハードルは相当高い」と認める。

 公明は従来、自民候補との間で「選挙区は自民、比例は公明」をうたい文句に、票を融通し合う「バーター(交換)」戦略を取ってきた。しかし熊本、鹿児島両県で小選挙区数が減ったことが影を落とす。選挙区減で票の「交換相手」も少なくなったのだ。

 自民は両県で1人ずつ、前職を比例単独候補に回した。候補者調整で熊本4区から立候補した前職は、比例転出したベテラン前職への配慮もあり、遊説で「比例は自民」と訴えている。公明側は、こうした前回と異なる自民側の動きに神経をとがらせる。

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 各党とも注目するのは、希望の党、立憲民主党という二つの新党の動向だ。両党の比例名簿には民進党出身の前職や元職の重複立候補者のほか、上位に大臣経験者を置いたり、引退した旧民主党国会議員を加えたりするなど集票に工夫を凝らす。このため政権批判票の受け皿として、比例での議席獲得に重点を置く共産や社民は危機感を強める。

 同ブロックで前回2議席を得た共産は90万票を得票目標に据えて3議席以上の獲得を狙い、社民も前回1議席からの上積みを目指しているが、現状は厳しい。共同通信が10、11日に実施した世論調査では、2新党で計6議席を確保する見通しで、旧民主党が前回獲得した3議席から倍増する勢いだ。

 ある共産陣営関係者は「新党が与党支持層からだけでなく、うちや社民支持層からも票を奪っているのでは」と警戒する。

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 「200でも300でもいい。比例で回せる票があるならお願いできないか。小選挙区で何倍ものお返しをする」

 数日前、北部九州の小選挙区に立候補した民進出身の元職に、公明関係者から電話がかかった。公明関係者は「票をくれるなら、組む相手は自民でなくてもいい」と声を潜める。

 公明熊本県本部の幹部は、自民前職が公明に推薦願を出していない熊本1区でも、一騎打ちの相手である希望前職を支援する可能性を示唆。他県の県本部幹部も「自民候補が協力的でないとみなせば、支援の手を緩めることもある」と、バーター戦略に乗らず比例票を出し渋る自民陣営をけん制する。

 選挙戦も残り1週間。各党の比例票を巡る攻防は激しさを増している。

=2017/10/15付 西日本新聞朝刊=

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