注目区を行く・沖縄3区 ヘリ事故自民逆風

西日本新聞

 15日午後、気温30度を超えた沖縄県本部町の闘牛場。自民前職比嘉奈津美は大勢の見物客に握手を求めて回り「よろしくお願いします」と笑顔を振りまいた。

 公示翌日の11日。選挙区内の東村の民間地に米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属の大型輸送ヘリコプターが不時着、炎上した。県内で再び噴出した政府、自民党への怒り。比嘉は12日の総決起大会で「非常に厳しい風が吹いている」と危機感をあらわにした。

 前回、県内4小選挙区は普天間飛行場の名護市辺野古移設を容認する自民候補が全員敗北。比嘉ら4人は比例九州で復活当選した。自民は今回、経済振興策を前面に打ち出す戦いを展開。そこに発生した米軍機事故。県民の怒りが向けられ、いや応なく基地問題に向き合わざるを得なくなった。

 移設先となる名護市辺野古も3区内だ。闘牛場で記者が基地問題について問うと、笑顔だった比嘉の表情が厳しくなった。「基地を受け入れたくて受け入れているわけではない。県民の声をしっかり国に伝えていきたい」

 県連内には、政府への不満もくすぶる。本土の応援演説に駆け回る首相安倍晋三(党総裁)は、北朝鮮に対応する日米同盟の強化は訴えるが、ヘリ事故や基地問題には触れない。

 「事故対応で政府は米国に強く物が言えず、基地負担も直視しない。沖縄の自民党は、その矛盾を全て背負わされている」。比嘉の陣営関係者は唇をかんだ。

 無所属前職玉城デニーは15日夕、うるま市の交差点で「安倍政権に対して、ウチナーンチュ(沖縄の人)の正義を示そう」と呼び掛けた。「ヘリの墜落やオスプレイの事故が繰り返し起こり、沖縄が犠牲になっている。これは国から押しつけられた国難だ」。隣に立った知事翁長雄志(おながたけし)が訴えると、集まった約100人から拍手が起きた。

 自由党籍を持つ玉城は、希望の党への合流を拒否した。衆院が解散した9月28日、国会内で自由党代表の小沢一郎に「(辺野古移設を)推進する立場の希望と合流することはあり得ない」と伝え、比例復活がない無所属での出馬を決意した。

 県内は、移設計画を容認する自民候補と、移設反対の翁長を支える「オール沖縄」勢力がぶつかる構図。玉城陣営の関係者は「4選挙区のうち一つでも議席を失えば、政府は『移設反対の民意は崩れた』と必ず言ってくる。全勝が至上命令だ」と力を込める。

 幸福実現党新人金城竜郎も立候補している。

 =敬称略

=2017/10/16付 西日本新聞朝刊=

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