復興特需、陰に不法残留 熊本で瓦修理従事、16人逮捕 被災17万棟 職人不足深刻

西日本新聞

 熊本地震で被災した家屋の瓦修理に従事していた外国人が入管難民法違反(不法残留)容疑で摘発される事件が相次いでいる。熊本県警は10月以降、タイ人11人、フィリピン人5人に加え、雇用側の日本人2人も逮捕した。同県で地震により一部損壊以上と判定された家屋は17万7千棟超。全国的な職人不足や人件費高騰の中、外国人の不法雇用が復旧、復興を支える構図になっている。

 今月2日、熊本地裁。入管難民法違反罪に問われたタイ人の男(56)と、知人の女(60)はともに懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

 「日本で仕事がある」。7月、タイで農業などをしながら妻子と暮らしていた被告の男は、近所に住む被告の女にこう誘われた。

 女には、建設業を営む日本人の元夫(66)がいた。元夫は地震後の6月、茨城県から熊本市へ仕事を求めて拠点を移した。女が子どもへの養育費の支払いを求めて電話をすると、元夫は「こっちで仕事をすればいい」と勧めたという。

 女に誘われたタイ人の男は借金をして9月4日、女ら4人と入国。元夫の案内で向かったのは、熊本県宇城市のアパートだった。元夫から「月給10万円」と提示され、同県内の被災地に瓦修理をしに向かう生活が始まった。

 ただし、タイ人たちの在留資格は15日間。男は10月5日、同じアパートにいたタイ人5人とともに宇城署に逮捕された。同月10日には、別のタイ人5人も逮捕。雇用者の元夫は同法違反(不法就労助長)容疑で逮捕された。

 県警は11月、熊本市の別業者に雇われていたフィリピン人5人を逮捕。今月2日には、うち1人を雇っていたとして市内の日本人業者の男(50)を逮捕した。県警によると、この業者も6月に茨城県から仕事を求めて来ていたという。

 熊本県瓦工業組合(熊本市、37業者)の東平和理事長(68)は「地震後の仕事量は10倍だ」と話す。各業者で修理の対応が追い付かず、組合事務所にも抗議が相次ぐ。全日本瓦工事業連盟(東京)は「スレート屋根が主流になり瓦業者が減る中で熊本地震が起きた」と説明。加盟業者は10年間で約4千社から約2800社に減った。人件費は高止まりし、県外の職人を雇うのを尻込みする県内業者もいるという。

 「熊本で求人を出したが、人が全く集まらなかった。タイ人は日本人より賃金も安く、仕方なくやった」。タイ人の女の元夫は西日本新聞の取材に、そう打ち明けた。

この記事は2016年12月13日付で、内容は当時のものです。

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