【声託す 衆院選ちくほう】求人増でも「正社員」少ない 求職者「長く働ける仕事を」

西日本新聞

 8月の全国平均の有効求人倍率は1・52倍(季節調整値)と43年前の高水準に達した。県内では筑豊地区でも1・25倍と、前年同月比で0・23ポイント増。一見、「売り手市場」に見えるが、筑豊各地のハローワークには今も幅広い年代の人が職を求めて並ぶ。「求人数は多い。でも、希望する職があるわけではない」。求職者らはそう訴える。

 今月中旬、就職活動中の田川市の男性(33)に電話がかかってきた。面接試験を受けた飯塚市内の消防設備企業の担当者は「今回は残念ながら…」と不採用を告げた。前の仕事を辞めて2カ月。面接試験は3回目だった。

 田川工業高(現田川科学技術高)を卒業後、千葉県の電機メンテナンス会社に正社員として就職し、2年で退職。自動車メーカーの期間従業員になったが、長続きしなかった。職を転々とし、貯金はほぼゼロ。今は実家で衣食住に困らないが、年金は払っていない時期が半分。健康保険は親の扶養。「賃金の良さより、昇給があるかなどといった長期的な視点で選びたい」と職探しの難しさを語る。

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 好業績の企業は筑豊にも少なくない。海外向けの車の生産が伸びるトヨタ九州(宮若市)は、今春の定期採用が195人で昨年より76人増えた。電子部品メーカー「タカハ機工」(飯塚市)もここ3年は業績が右肩上がりで、今夏はアルバイト30人を雇用。担当者は「新卒者は大手に目が向き、優秀な人材が集まりにくい」と語った。

 「今は選ばなければ、職はたくさんあります」。衆院選福岡8区の立候補者の一人は公示後、雇用の現状をそう表現した。筑豊の有効求人倍率1・25倍は近年にない高水準だが、ここには「パート」が含まれる。「正社員」での同倍率は県内が0・94倍で、筑豊が0・82倍、田川地区は0・71倍。非正規採用に頼る求人の現実が垣間見える。

 職種も求人、求職双方で希望に差がある。田川地区でいえば、看護師や介護員など医療・福祉系だけで全求人の2割を占めるが、求職者の希望が最も多いのは一般事務だ。ハローワーク田川の斉藤みちる統括職業指導官は「保育士のように正社員の募集が少ない職種があり、よりよい条件を求めて離転職する人も多い。求人数が増えるだけでなく、働き手と雇う側のミスマッチの解消も大切」と指摘する。求職者からは「長く働ける安定した仕事がほしい」と政治への期待も込めた言葉が聞かれる。

=2017/10/18付 西日本新聞朝刊=

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