森へおいでよ 筑豊の自然再発見<1>むしとの遭遇 さぁ、魅惑の世界へ

西日本新聞

 むしと触れ合う人の表情は、どうしてこんなにも豊かなのか。それは、むしの世界が多彩だからに違いない。

 小さい子にはキリギリスが動くだけでも十分に楽しいが(1)、音を出すとなると「なんだこれはっ!」と驚きを伴う喜びに変わる。大人にとってはうるさいだけのセミでも(2)。

 小学生はむしを自分で捕まえる。校庭にたくさんいるバッタを「捕ったよっ!」とうれしそう。この表情を見たくて一緒にむし捕りをする(3)。

 慣れてくると、ちょっと珍しいくらいでは驚かない。「チョウはこう持つんばい」という自信が表情に表れる。この成長が頼もしい(4)。

 近頃見なくなったとうわさされるタマムシも、慣れた人は手の上を普通に歩かせ「ほら!早く写さないと飛びますよ」と余裕の行動予測。こんな大人がもっと増えればいい(5)。

 知らないことに出くわすこともある。大きなカミキリムシを捕らえると「チィチィチィ」と音を出す。「へぇ、こんな音出すんだぁ」。これでまた一つ、テストにも出ないことを覚えた。こういう積み重ねが本当の勉強といえる(6)。

 コメツキムシは、つかまれると「パチッ、パチッ」と音を立てて体を曲げ伸ばしする。くわえた鳥は驚いて落とすかもしれないが、初めてつまんだ人は「えっ!」という驚きの表情になる。こういう表情も楽しい(7)。

 大人にとってセミの抜け殻など珍しくもない、と思いきや、小さいセミの抜け殻を見て「かわいいっ!」という表情になる(8)。大人にも新鮮で楽しいことが、ちゃんとある。

 もっと慣れると、子供たちがセミをとまらせにくる。セミの方も慣れたもので、鳴きわめくのをやめて落ち着く。もう、ほとんど木の境地か(9)。

 きれいなガをとまらせて、「むしコレ2016!」とか言い出すと、もう中毒の域(10)。

 むしの世界は多彩で奥深い。のぞき込んだが最後、このわくわくする世界からは抜け出せない。これから魅惑の世界にいざなっていこうと思う。

(筑豊の自然を楽しむ会・岸本×太(ばった))

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 今回から筑豊の自然について、人との関わりを絡めつつ紹介する連載を始めます。筑豊の自然を楽しむ会(略称・ちくぜんらく)のメンバーが、それぞれの分野で独自の視点から楽しく分かりやすく迫ります。

2016/09/01付 西日本新聞朝刊(筑豊版)

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