【声託す 衆院選ちくほう】子育て政策を母親注視 「待機児童の解消を」「幼児教育より奨学金」

西日本新聞

 「9月入園の申し込み、全て落ちました」。平日の午後、飯塚市本町の「街なか子育てひろば」で長女の虹子ちゃん(1)にほほえみかけながら、母親の芹野真奈美さん(30)は打ち明けた。衆院選福岡8区で最も人口が多い飯塚市内で、希望する保育園に入園できない実質的な待機児童は9月1日現在で96人いる。虹子ちゃんも、その1人だ。

 家の近くで、習い事が充実した保育園を第4希望まで選んだが、入園できなかった。福岡市内の会社で働くが、やむなく育休を半年延長した。「困ると感じる同僚もいるかもしれない」。来年4月も入園できなかった場合は、無認可の園に預け、認可の園が空くのを待つしかないと考えている。「仕事は好きだし、将来のためにお金をためたい」。出身地の熊本県の町では、保育園に入れなくて困っているという話はあまり聞かない。地域間格差を感じるが「飯塚市の方が人口が多い分、仕方ないことなのかな」とあきらめ顔だ。

 衆院選で自民党は「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までに32万人分の保育の受け皿を整備するとの公約を掲げる。「問題が解消し女性が活躍できればうれしいけれど、本当に実現できるのだろうか」と不安もよぎる。それでも今回の選挙は「待機児童問題を何とかして、という気持ちで臨む」と笑う。

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 自民党は子育てについては、幼児教育の無償化も公約に盛り込む。20年度までに3歳から5歳の全員、所得の低い世帯には2歳以下も保育園・幼稚園の費用を無償化するとしている。

 「幼児教育よりも、返還義務のない奨学金を増やしてほしい」。飯塚市吉原町のクラブで働く女性(38)は訴える。20歳、14歳の息子と18歳の娘を、シングルマザーとして育ててきた。8年前から夜の店で働いている。子どもたちに苦しい生活だと思わせないように心掛けてきた。生活保護は申請せず、習い事もさせた。その経験から、子どもが大きくなってからの方が経済的な負担が増すことに気付いた。「やりたいことがあれば、背中を押してあげたい。それが親の願い」

 選挙戦で議論されている幼児教育の無償化には疑問を抱く。「将来のことを考えずに子どもを産む親や、働かないシングルマザーが増えるんじゃないかな」とつぶやいた。

 安倍首相は「子育て世代の暮らしを守り、子どもたちの未来を切り拓(ひら)くため、投資を大胆に進めます」と強調する。投資の行方を、母親たちは見つめる。

=2017/10/19付 西日本新聞朝刊=

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