【声託す 衆院選ちくほう】憲法改正 「自衛隊の役割考えて」 半世紀、地域と信頼深める 9条明記で「遠い存在に…」

西日本新聞

 普段と変わらぬ静けさが漂っていた。19日、飯塚市の陸上自衛隊飯塚駐屯地。入り口前の交差点に設置された衆院選のポスター掲示板の前を自衛隊車両が行き交う。

 同駐屯地で勤務経験がある隊員の父親(55)=飯塚市=は、憲法改正が争点の一つとなった衆院選の論戦を注視する。防衛の最前線で国を守るわが子の心配は尽きないが、何より誇りに思う。一方で複雑な感情も入り交じる。「自衛隊が違憲との議論があることに歯がゆい思いをしてきた」

 憲法9条への自衛隊明記-。自民党が投げ掛け、与野党が主張を展開する。男性は言う。「自衛隊がどういう存在なのか、役割は何なのか。一人一人が真剣に考えてほしい」

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 飯塚駐屯地は51年前、炭鉱閉山後の地域振興策として、飯塚商工会議所が旗振り役となって誘致した。現在勤務する隊員は約千人。

 「私の国では考えられない。平和な日本の自衛隊にしかできないことだ」。世界各国から選手が集う飯塚国際車いすテニス大会で、運営スタッフは外国人選手からこんな声を掛けられるという。会場設営や送迎など迷彩服姿の隊員が大会を支える。

 同大会のほかにも、直方市のチューリップフェアで球根を植え、田川市の川渡り神幸祭ではみこしを担ぐ。夏には住民向けに音楽会を開く。

 筑豊地区と駐屯地はほぼ半世紀に渡り、関係を深めてきた。NPO法人九州車いすテニス協会の女性(51)は災害派遣を含め、信頼と感謝の一方で、懸念もあるという。「憲法改正となれば、自衛隊の位置付けが変わらないだろうか。手の届かないところに行ってしまわないか」

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 戦争放棄の1項と戦力不保持と交戦権否定の2項。戦争体験者の証言を集める嘉麻市碓井平和祈念館の学芸員(59)は「家族や友人を失いながらも戦後を生き抜いた人が心のよりどころとしたのが憲法9条」と話す。

 9条への自衛隊明記を巡っては賛否が割れる。19日、飯塚市の街頭ではさまざまな声が聞かれた。

 「北朝鮮情勢の緊迫化などを見ると、明記して、しっかり国を守る体制をつくることはやむを得ない」(67歳男性)「明記する理由がよく分からない。与野党ともにもっと憲法を語ってほしい」(56歳女性)…。

 憲法を考えることはこの国のかたちを考えること。未来に思いをはせ、1票を投じたい。

=2017/10/20付 西日本新聞朝刊=

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