退役軍人運転手で生計 中国 配車大手に178万人登録 進む軍のリストラ、職探し難しく

西日本新聞

 【北京・川原田健雄】中国が人民解放軍の人員削減を進める中、多くの退役軍人が配車サービス大手「滴滴出行」の運転手として生計を立てている実態が明らかになった。北京青年報が伝えた首都経済貿易大の調査によると、178万8千人が運転手として登録。うち専業運転手は50万人を超えた。退役後の待遇に不満が根強いとされる元軍人だが、調査はその暮らしぶりも映し出している。

 調査によると、この1年だけで5万人が運転手に登録。専業運転手として働く退役軍人は50万5400人に上った。約6万人を対象にしたアンケートによると、専業運転手の平均年齢は35歳。75%は子どもがおり、うち41%の子どもは7歳以下だった。平均月収は5168元(約8万5千円)だが、65%は「安定した仕事」と評価した。

 ベトナムとの国境紛争を経験し、退役後の2015年末に運転手となった50代男性も調査に「多くの人と出会えてやりがいがある。収入も悪くない」と答えた。

 背景には退役軍人の待遇問題がある。通常は退役後に仕事があっせんされ、年金も支給されるが、地域によって待遇に差があるという。かつては有力な再就職先だった国有企業も構造改革が進み、職探しは容易ではないのが実情だ。

 配車サービスの運転手は、スマートフォンのアプリを使って待ち合わせた客を自家用車で運ぶのが仕事。特殊な技能は必要なく、国内で圧倒的なシェアを誇る滴滴が退役軍人の受け皿となっている格好だ。

 ただ、習近平指導部は兵力230万人のうち30万人の削減を宣言した15年9月以降、リストラを進めており、滴滴がどこまで引き受けられるかは不透明だ。昨年10月と今年2月には北京市で、待遇改善を求める退役軍人の大規模デモが相次いだ。いつまた不満が噴き出さないとも限らず、中国の最高指導部が入れ替わる今秋の共産党大会を前に、習指導部は退役軍人の動向に神経をとがらせている。

この記事は2017年08月23日付で、内容は当時のものです。

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