「久留米焼きとり」に恋をした 日本一フェスタの参加店訪ねる 「代名詞」ダルムは医学生から

西日本新聞

 アツアツの串にかぶりつき、ビールをグイッ。「焼きとり」のまち・福岡県久留米市での至福の時間だ。2005年に周辺自治体と合併するまで、同市は人口1万人当たりの焼きとり店舗数が全国1位だった。「ダルム」(豚の腸)のようなメニューを生み、今も進化し続けているという。その魅力を堪能する「久留米焼きとり日本一フェスタ」が9、10日に開かれる。イベントに参加する店舗を訪ね、人気の秘密を探ってみた。

 立ち上る煙の先から香ばしい香りが漂ってくる。久留米市六ツ門町の「炭火串焼 オレたちの絆」。宮原友和店長(38)が炭火の熱と闘いながら、1番人気の「とり皮」を焼いていた。多い日で約300本。特製のたれにくぐらせて焼き、寝かせる工程を3日間繰り返す。かむとうまみがしみ出してくる。

 堪能しながらメニューを広げると定番のもも、手羽先といった鶏肉のほか、豚バラ、ダルム、シイタケ、ししゃも…。「『串に刺せるものなら何でもあり』が久留米スタイルですから」と宮原さん。そういえば「焼き鳥」でなく「焼きとり」なのもそんな理由からだそうだ。店でも特別に仕入れたハーブ入りのウインナーなどの新メニューを開発しているという。

 進取の精神に富んだ焼き鳥店を支えたのが地元のお客さん。ゴム産業の発展や「医者の街」と呼ばれた病院の数の多さ、久留米競輪…。「1本当たりの値段がお手頃で、昔から気軽にのれんをくぐれたからでしょう」と宮原さん。「久留米では今や、焼きとりは家族で食べに行くものになっています。好きな物をちょっとずつ。時代の流れに合っているんじゃないかな」

 15回を数えるフェスタには9年連続出場。「1年で最も情熱と労力をかける一大イベント。久留米焼きとりのファンを増やすチャンス」と意気込む。

 今年がフェスタ初出場の店もある。同市日吉町の「焼鳥つかさ」。大きめの豚バラなどを提供予定だが、オーナーの樋口司さん(29)は「久留米ならではのダルムは外せませんよね」

 かつて、久留米大の医学生がホルモンをドイツ語読みで「ダルム」と呼んだことから、その名が付いたと言われる久留米焼きとりの「代名詞」だ。

 初めて食べたときは独特のにおいを感じたが、何度も食べるうちに風味が逆に癖になった。樋口さんは「初めての人でも食べやすいよう長時間煮込んでいます。ダルムの味が分かるようになったなら、記者さんも久留米焼きとりのとりこになった証拠ですよ」と笑ってくれた。

 フェスタではどの店も最低1カ月はかけて仕込むため、同じメニューでも店ごとに見た目も味も大きく違うという。次に久留米焼きとりの「とりこ」になるのは、あなたかもしれない。

■久留米市内外から16店9、10日

 第15回久留米焼きとり日本一フェスタ(久留米焼きとり文化振興会主催)は9、10の両日、久留米市の東町公園で開かれる。市内を中心に16の焼き鳥店が出店。昨年は2日間で6万人を超える来場者があり、約12万本を売り上げた。

 15回目の今回は、スペシャルゲストとして愛媛県今治市と山口県長門市の人気店が参加。全16店を東西2チームに分け、参加者が食べ終わった串を投票して人気を競う「久留米東西焼きとり対決」を初めて実施する。参加店の意欲も高まっているという。

 また、久留米大と地元酒蔵が共同開発したオリジナル日本酒「久留米大学酒」の販売もある。

 フェスタは9日午前11時~午後8時、10日午前11時~午後4時の予定だが、売り切れ次第終了。同振興会事務局=0942(38)1811。

この記事は2017年09月01日付で、内容は当時のものです。

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ