子どもとの絆を強める心理プログラム 「CARE」 1日5分からの幸せ 遊びの主役に 問題行動減る

西日本新聞

 ●大野城市と九大実施 ストレスから自信へ

 子どもが言うことを聞いてくれず、育児に自信が持てない-。子育て中の多くの人が直面する悩みだろう。福岡県大野城市は2013年度から九州大と共催で、子どもとの絆を強める心理教育プログラム「CARE(ケア)」講座を市内で開いている。1日5分ほど、子どもを主役にした遊びの時間を設けるのが最大の特徴で、参加者からは「子どもの問題行動が減った」「育児ストレスが軽減された」といった感想が寄せられている。

 「まずはお母さんがリラックスしましょう」。今月中旬の講座で、講師を務める九州大医学研究院の木村一絵(ひとえ)助教(40)が声を掛けると、母親同士がペアを組み、互いに肩をもみながら自己紹介を始めた。参加者は2~6歳の子どもを持つ26~49歳の女性26人。すぐにみんなの緊張がほぐれ、会場の雰囲気が和んだ。

 続いて木村さんが母親役、市職員の島美佳さん(32)が4歳児役となり、ブロック遊びを演じるロールプレーの手本を示す。

 「ブロックでタワー作る」「そう、タワー作るの」

 木村さんは子ども役の島さんの言葉を繰り返したり、「ブロックを真っすぐ並べています」と、実況中継のように行動をそのまま言葉にしたりする。最後は「ブロックを赤と青の順に、きれいに組み合わせたね」と、ほめた。

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 CAREプログラムが重視するのは「遊び」の中での実践。一緒に楽しい時間を共有することで、絆が強くなると考えるからだ。具体的には1日3~5分を「特別な時間」と位置づけ、子どもを主役とする遊びの時間を設ける。この間、親はあくまで子どものペースについていく。

 ポイントは(1)子どもの言葉を繰り返す(2)行動を描写する(3)具体的にほめる-の3点。子どもは大人が自分についてきてくれるという安心感に満たされ、自尊心を育てることにつながる。

 避けたいのは命令や禁止、否定的な言葉。質問もなるべく控え、大人が会話の主導権を握らないよう注意する。この「特別な時間」を終えれば、両者が普段の立場に戻ることも重要だ。

 かんしゃくを起こしやすい次男(4)に悩んでいるという参加者の女性(37)は「1日5分なら、できそうです」と話した。

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 講座は全4回で、子どもが大人に従うことが必要な場面で効果的に指示を出す方法もアドバイスしている。参加者は、自宅で実践してみた感想や子育ての悩みなども話し合う。

 15、16年度の参加者計50人に対する受講後のアンケートでは、ほぼ全員が「子どもの問題行動が減った」と答え、約9割が「子どもとの絆が深まった」と回答するなど効果を実感していたという。

 スタッフとして関わる市こども健康課の臨床心理士の女性(41)は「母親同士が悩みを共有できる場にもなっている。大変なのは自分だけじゃないと救われ、子育てに自信を持てたという声が多く寄せられている」と話す。

 木村さんは「1日5分程度なら、母親もストレスを感じずに実践できる。忙しいときには週に2、3回でも構わない。続けることで効果が表れる」と話した。

 CAREプログラムを導入した一般向け講座はまだ多くなく、大野城市の講座も原則、市内在住者が対象。本年度の募集は締め切っている。CAREに関する問い合わせは、木村さんのメール=care.program.for.all.children@gmail.com

 ▼CARE 「Child-Adult Relationship Enhancement」(子どもと大人の関係を強める)の略。米オハイオ州のシンシナティ子ども病院で2005年に開発された、子どもと関わる大人のための心理教育プログラム。ロールプレーを通して子どもとの関わり方を学ぶ。11年に任意団体「CARE-Japan」(東京)が設立され、ワークショップなどを実施している。


=2017/10/28付 西日本新聞朝刊=

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