5カ月で来館7万人超 福智町の図書館・資料館「ふくちのち」 催し多彩、「蔵書増やして」の声も

西日本新聞

 3月にオープンした福岡県福智町の町図書館・歴史資料館「ふくちのち」の来館者数が8月上旬、7万人を突破した。最新工作機やキッチン、カフェなど従来の図書館を変える機能を備え、雑貨市やプラネタリウムなど多彩なイベントを毎週開催。他県の自治体や民間企業の視察も相次ぐ。開館時に掲げた年間10万人の目標も早々と達成する勢いだ。町の予想を超えた人気の一方で、利用者からは「もう少し蔵書を増やせないか」との声も上がっている。

 8月27日午後、中高生に人気のイベント「ゲーム体験会」をのぞいた。館内の広場では歓声が響く。「静かな場所」という図書館のイメージではない。中高生たちが持っているのは本ではなく、テレビゲームのコントローラーだった。

 「ゲームの世界観は、歴史や神話を題材にしたものが多く、想像が膨らむ。もっと知りたいという興味が、本に触れるきっかけになる」と鳥越美奈館長。図書館に来るきっかけが少なかった子どもたちに興味を持ってもらうためのイベントを積極的に開いている。

 北九州市立八幡西図書館などの館長も務めた鳥越館長は、ドイツ・ニュルンベルクへの留学も経験。視察した図書館では、ゲームも資料の一つとして保管されていたという。鳥越館長は「物語性を重視したボードゲームは、世代を問わず楽しめる。お年寄りから子どもまで世代間交流ができる場をつくりたい」と話す。

 児童・生徒の学力アップを目指す取り組みも欠かさない。同28日、同館の広場を会場に、地元の赤池中2年の生徒たちが書評合戦「ビブリオバトル」の決勝戦を開いた。校内の予選を勝ち抜いた6人が友達に薦めたい本を紹介。来館者も生徒たちの論戦を楽しんだ。

 ビブリオバトルは、町と九州国際大の連携協定の一環。同館の司書や同大の学生が事前に赤池中を訪れ、本の読み方や魅力の伝え方を教えた。赤池中の村上きぬよ校長は「継続すれば、読解力や要約力、人前で話す度胸も身につきそうだ」と話す。鳥越館長は「学校との連携授業は町営の強み。今後も、時代に沿った新しい授業を作ることができる」と期待を込める。

 町のにぎわいスポットになった一方で、蔵書数は約4万5千冊と、開館時に予定した5万冊には届いていない。近隣の田川市立図書館の蔵書数は約18万冊、飯塚市立図書館は4分館も含めて約46万冊。「ふくちのち」は、5年間で蔵書数10万冊を目指し、町の本年度当初予算でも新規の図書購入費用として約1600万円を計上した。しかし、貸し出し本の管理に必要な図書登録に時間がかかり、開館後から蔵書数は微増にとどまるという。

 同町の辻村哲弥教育長は「町民が知りたい情報は、早急にそろえたい」と課題を示した上で、「多彩なイベントを単発で終わらせず、若者、地域住民、文化団体が集まり、町に新たな文化を創造できるような施設づくりに取り組んでいきたい」と話している。

この記事は2017年09月06日付で、内容は当時のものです。

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