低山登山糸島で人気 416メートルの高祖山に挑戦 怡土城遺跡たどり山頂、登山記念の木札も

西日本新聞

 朝晩に秋風が吹き始めたとはいえ、まだまだ日差しは厳しい。糸島市のリゾートといえば若者に人気の「海」が最初に思い浮かぶ。ところが最近、「山ガール」や中高年の間で、糸島の山での「低山登山」が人気だという。「山の日」の8月11日、地元の人たちと高祖山(たかすやま)(416メートル)に登った。低山と甘く見ていた記者は…。

 糸島市の中心部から車で南東へ15分ほど。午前8時すぎ、集合場所の高祖神社に到着した。神社は平安時代の文書に登場し、1100年以上の歴史がある。県内でも最古級の神社だ。神々しい雰囲気の中で関係者約40人が登山の安全を祈り、神職のおはらいを受けた。背筋がピンと伸びた。

 高祖山の西斜面には、大宰府防衛の西の拠点として築かれた山城、怡土(いと)城の土塁や望楼跡といった遺跡が残る。築城を指揮したのは遣唐使の任を終えて帰国した吉備真備。玄宗皇帝に愛された楊貴妃が悲劇の死を遂げた「安史の乱」に備えるために築かれた。

 登山口から歩き始めて20分ほど。小さな平地に巨大な石が幾つも並んでいた。一之坂礎石群だ。怡土城の遺跡の一つ。唐の内乱に備えるため、どんな建物があったのだろう。1200年以上前の歴史ロマンに思いをはせた。

 どんどん傾斜がきつくなる。リュックと一眼レフカメラを抱えた身にはきつい。先頭を歩いていたのに次々と抜かれていく。長崎県諫早市から来たという山ガールの江見万里さん(40)にも追い越された。「この後、可也山(365メートル)に登ります」。江見さんは微笑を残し、過ぎ去った。日頃の運動不足が恨めしい。

 タオルで拭っても拭っても汗が噴き出る。目の前には巨岩が幾つもそびえる。石垣のようだ。岩に手をかけてよじ登り、少し開けた場所に出た。中世の山城、怡土城の二の丸跡らしい。ここに糸島の国人・原田氏の居館があったという。その証拠に同行者が瓦を見つけた。ここまで来れば山頂はもう目の前だ。最後の難関、崖をよじ登るとついに着いた! 通常なら50分かからないらしいが、1時間を軽く超えていた。

 地元関係者の登山の目的は、7月に設置したばかりの「山ナビBOX」に木札と山歩きマップを納めること。「怡土校区運営委員会」が高祖山を観光拠点にしようと木札を作った。高祖山がデザインされ「I〓ITOSHIMA」の文字が書かれている。登山客は自由に持ち帰れる。思い出の一つにしてもらおうという狙いだ。可也山にも登山記念の木札があり、それに倣った。呼び掛け人の立石幸弘さん(75)は「完成にこぎ着けてほっとしています」。

 山頂からは可也山をバックに広がる糸島市中心部が見下ろせた。ただ、玄海国定公園の一部に当たるため自由に伐採ができず、見通しは悪い。自然を守る規制だが、地域活性化につながるなら緩めることもあっていいと思う。

 「行きはよいよい、帰りは怖い」。下り坂は童謡の歌詞そのままだ。膝が笑う。「おしゃべりしながら登ったから楽しかった」。高祖山登山は2度目という引津小4年の山崎優璃さん(10)の言葉が素直に頭に入ってこなかった。

 糸島の山歩き 糸島市には千メートル以下の登りやすい山々が連なる。市は11の山のガイド冊子を高祖山▽可也山・立石山・火山▽井原山・雷山・羽金山▽二丈岳・女岳・浮獄・十坊山-の4編に分けて作製。「可也山-」編では、登山ルート、山歩きに必要な用具類のチェック表、アクセス、志摩の四季や芥屋キャンプ場といった周辺の観光情報などを掲載し、初心者でも山歩きを楽しめるよう工夫している。問い合わせは糸島市商工観光課=092(332)2080。

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この記事は2017年09月05日付で、内容は当時のものです。

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