折り紙、レゴ、替え歌……。超有名進学校の変テコで魂を揺さぶる授業

西日本新聞

 以前、とあるバラエティ番組で、高学歴で有名なお笑い芸人が『桃太郎』の読書感想文を披露していた。「鬼が金銀財宝を所有しているということは、『桃太郎』の世界には貨幣経済が息づいているのではないか?」という内容で、非常にワクワクしたのを覚えている。

 同様に、一見何てことないテーマを通して知性や想像力を刺激するのが真の「教養」であり、「教育」と呼ぶべきだろう。そんな教育を実践しているのが、日本でも名だたる超有名進学校だ。

 灘、開成、麻布、女子学院、東大寺学院……。毎年多数の東大・京大・早慶合格者を輩出する名門校。さぞ生徒達は毎日机にかじりついてひたすら受験勉強に明け暮れるガリ勉集団で、教師陣は詰め込み型のスパルタ教育を行っているのだろうと思いきやとんでもない。授業の一環としてレゴを触らせたり、バイオリンを弾かせたり、1年かけて運動会の準備をさせたり、田植えをさせたりと受験とはまるで無縁のプログラムに力を入れている。どんな時代でも生き抜いていくための力と、教養を養わせるためだ。本書では、16校の「白熱教室」が紹介されている。

 中でも面白いのが、麻布中学校・高等学校。麻布は60年以上にわたって東大合格者数トップ10にランクインし続けている唯一の高校だ。その麻布の名物授業のひとつが「唱歌『故郷』の4番を作る」というものだ。「故郷」は「うさぎ追ひしかの山……」でおなじみの曲。日本の美しい原風景が題材となっているが、これを今現在の高校生が描いたらどうなるだろうか、という授業だ。グループを作り、現代社会の価値観を整理し、最後にはプレゼンを行う。作った曲はプロの音楽家の手でアレンジされ、生徒達の目の前で歌われるという本格的なものだ。

 「替え歌を作る」という、言ってしまえばただそれだけのことだが、歌詞作りを通して生徒達は自分や社会の価値観と向き合っていく。それは、これから新しい社会を築いていく子ども達にとって欠かせないことだろう。

 本書を読んでいると、生き生きとした生徒達の様子が印象的だ。知るのが楽しい。学ぶのが楽しい。多感な時期に、そう思えるのは幸せなことだろう。こんな教育を受けられる子ども達が心底うらやましい。学生達だけではなく、大人にも本書から学べるものがあるはずだ。一生、勉強の種は尽きることがないのだから。


出版社:SBクリエイティブ
書名:名門校の「人生を学ぶ」授業
著者名:おおたとしまさ
定価(税込):864円
税別価格:800円
リンク先:http://www.sbcr.jp/products/4797390353.html

西日本新聞 読書案内編集部

PR

文化 アクセスランキング

PR

注目のテーマ