中朝国境の街、制裁の影 北朝鮮レストラン閉店、平壌ツアー中止 主要路の橋再開に車列

西日本新聞

 【丹東・川原田健雄】中国と北朝鮮を結ぶ中朝友誼(ゆうぎ)橋が補修工事を終え、21日に通行が再開された。11日から10日間の閉鎖期間を経て、中朝貿易の主要ルートが復活したが、中国側の遼寧省丹東市では北朝鮮産の海産物が市場から消え、北朝鮮レストランも相次いで閉店。国際社会の対北朝鮮制裁が国境の街にも影を落としていた。

 午前9時すぎ、通行が再開されると、橋の上には北朝鮮の大型トラックが長い列を作った。橋は一方通行で、通常は通行台数の多い中国側が先に渡るというが、この日は北朝鮮が先。「10日も橋を使えず、物資が足りなくなっているのだろう」と地元関係者は推測した。制裁の影響で北朝鮮は輸出できる物が少なくなり、空のトラックが中国に入って電化製品や食品を積んで北朝鮮へ戻るという。

 国連安全保障理事会の決議に基づき、中国は8月中旬から北朝鮮産の海産物を輸入禁止とした。丹東の海鮮市場には北朝鮮から密輸されたカニや貝が並ぶこともあるが、21日は見当たらなかった。「3カ月前までは北朝鮮の密輸船が丹東に来ていたけど、今は警備が厳しくて近づけないみたい」と女性従業員が明かした。

 決議では、北朝鮮労働者の受け入れも禁止された。丹東市当局は新規就労の許可は与えていないが、既に許可を得ている北朝鮮労働者については、契約期限までの滞在を認めている。

 20日、丹東の電子部品工場では夜になっても、約100人の北朝鮮女性が残業を続けた。中朝貿易に携わった経験のある男性によると、女性たちは中国人労働者より早く出社し、遅くまで働くという。「北朝鮮人は低賃金なのに勤勉。今のうちにできるだけ働かせたいのが本音」と工場側の思いを代弁した。

 制裁対象ではない業界にも影響が出ている。丹東の旅行会社は11月、当局から北朝鮮・平壌を訪れる3泊4日ツアーの中止を命じられた。北朝鮮の国境の街・新義州を巡る日帰りツアーもやめたという。

 丹東市に10店近くある北朝鮮レストランのうち、少なくとも3店は11月までに閉店。かつて約150人の北朝鮮女性が働いた丹東高麗館は看板が外され、椅子やテーブルが店内に放置されていた。「修理のため当面営業を停止」との張り紙があったが、旅行業の男性は「修理は表向きの理由。中国では核開発を続ける北朝鮮に反発が強く、客足が遠のいている」と話した。

 別の北朝鮮レストランは夕食時にもかかわらず、客は数人のみ。奥のテーブルでは、平壌から来たという若い男性3人が朝鮮語で女性従業員と談笑していた。「米国と戦争が始まる前に、北朝鮮の高官の子弟が逃げてきているといううわさがある。彼らもそうじゃないかな」。店内にいた地元の男性がそうささやいた。

=2017/12/22付 西日本新聞朝刊=

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