SHOGI、世界で熱 ネット対局普及に拍車

西日本新聞

 ■手作り駒で練習、授業に導入も

 中学生プロ棋士の藤井聡太四段(15)が公式戦29連勝の新記録を打ち立てたり、羽生善治竜王(47)が史上初の「永世七冠」を達成したり、大いに盛り上がった今年の将棋界。実は日本だけでなく、海外でも急速に将棋ファンが増えている。インターネット対局の普及で、将棋の魅力が軽々と国境を越え、言語の壁も越えて世界へ広がっているようだ。

 「世界大会に出場できただけでもうれしいのに、勝つことができて本当に感激した」

 アフリカのコートジボワールの教師デュアメル・バーさん(29)は満面に笑みを浮かべた。

 北九州市小倉北区の北九州国際会議場で10月28、29日に開催された世界大会「第7回国際将棋フォーラムin北九州」。バーさんは初出場ながら3勝を挙げた。

 将棋を知ったのは約8年前。漫画「NARUTO-ナルト-」のテレビアニメで、登場人物が将棋を指している場面を見て興味を持った。しかし将棋盤や駒を国内で売っている所はない。段ボールを切って盤や駒を手作りし、友人を誘って約3年前から本格的に将棋を指し始めた。今、将棋仲間は30人ほどになった。

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 「国際将棋フォーラムin北九州」のトーナメント戦に出場したのは42カ国・地域を代表する48人。3年に1度の催しで、1999年の第1回大会(東京)で27カ国・地域32人だった参加選手は1・5倍に増え、過去最多を記録した。

 「将棋がこれほど急速に世界に普及するとは想像もしていなかった」

 フォーラムにも関わってきたNPO法人「将棋を世界に広める会」理事長の真田尚裕さん(84)=神奈川県鎌倉市=は感慨深げだ。

 会の結成は95年。日本将棋連盟と連携して中国で日中両国の子どもの親善将棋大会を催したり、ロシアやスウェーデンで現地の将棋ファンと交流したり、地道に普及活動に取り組んできた。中国・上海では熱心な地元愛好家の存在もあって、小中学校の授業に将棋が採用されているという。

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 チェスのほか、中国と韓国にも日本の将棋とよく似たゲームがあるが、相手の駒を取った後、自分の駒として使えるのが将棋独特のルール。海外の選手たちは「日本の将棋は、より複雑な読みが必要で、終盤が激しく、劣勢になっても逆転できることが多い。そこが魅力」と声をそろえる。

 ただ、従来は将棋の海外普及を図る上で、英語の解説書がほとんどないなど課題がいくつもあった。

 そこで誕生したのが、英語にも対応したインターネット対局サイト「81Dojo」だった。将棋愛好家の会社員川崎智秀さん(39)が「外国人も気軽に将棋に触れられるように」と2008年、ネット上に動画を公開することから始め、10年に現在のサイトを立ち上げた。

 対局を振り返る感想戦の機能などが好評で、12年時点で85カ国約7400人だった登録者が現在は約90カ国、5万3千人を数える。

 12年には、スマートフォン用の対局アプリ「将棋ウォーズ」も登場。「81Dojo」と同様、海外でも利用者を増やしているようだ。

 「ドイツ、ベラルーシ、フランス、ポーランドなど、もう私たちが手出しをしなくてもしっかりとした普及の基盤ができた。海外普及が止まることはないでしょう」。川崎さんは今後を展望している。


=2017/12/22付 西日本新聞夕刊=

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