原油禁輸ためらう中国 北朝鮮制裁決議 難民流入懸念 技術的問題も 対米カード温存狙う

西日本新聞

 【北京・川原田健雄】北朝鮮制裁の切り札といわれる原油禁輸。新たな決議は次に挑発行為があれば「石油の輸出をさらに制限する」と明記したが、最大の原油供給国である中国は全面禁輸に慎重姿勢を崩さない。中国が「最強のカード」を切らない背景にはいくつかの事情がうかがえる。

 中国は遼寧省丹東市にあるパイプラインを通じて年約50万トンの原油を無償で北朝鮮に供給しているとされる。ほぼ全量を北朝鮮の軍と関連機関が独占しているとされ、米国や日本は「送油を止めれば軍に歯止めをかけられる」と期待する。

 中国が原油禁輸をためらう最大の理由は自国への影響だ。禁輸が北朝鮮経済に致命的な打撃となるのは必至で、大量の難民が中国に押し寄せかねない。金正恩政権の暴発を招き、北朝鮮の核やミサイルが中国の脅威となる恐れがある。

 技術的な問題もある。北朝鮮向けの原油の成分にはろうそくの原料が多く含まれ、送油を一定期間止めると関連施設の管が詰まり、復旧は困難になるという。

 中国は2003年に送油を3日間止め、北朝鮮を対話のテーブルに着かせた実績があるが、北朝鮮はその後、原油の備蓄量を増加。再び送油を止めても短期間では効果があるか見通せない。中国が禁輸しても、ロシアが「抜け穴」となって供給するとの見方もある。

 原油禁輸が空振りとなれば、中国は北朝鮮に影響力を行使する手段を失う。中国にとって北朝鮮問題は、貿易不均衡解消などを求める米国をけん制する貴重な外交カードでもあり、最後まで温存し続ける構えだ。

=2017/12/24付 西日本新聞朝刊=

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