走るヒーローがタイで熱視線 「病院に寄付を」ロック歌手国内縦断 沿道から33億円政府批判に飛び火

西日本新聞

 【バンコク浜田耕治】タイで人気のロック歌手が2千キロ以上を走って国内を縦断するチャリティーマラソンを行い、社会現象を巻き起こしている。医療機器不足にあえぐ病院への寄付が目的だが、懸命に走る姿が共感を呼び、沿道からの寄付金は9億8千万バーツ(約33億円)を突破した。その一方で対応を怠ってきた政府に厳しい視線が向けられている。

 この歌手はロックバンド「ボディスラム」のボーカル、アーティワラーさん(38)。医療機器不足が深刻な全国11カ所の公立病院に7億バーツ(約23億8千万円)を寄付して「命を救いたい」と、11月1日にタイ最南端のヤラー県を出発。寄付金を募りながら、最北端チェンライ県までの2191キロを走破する計画だ。

 その過酷さから実現を不安視する声もあったが、負傷しても土砂降りでも走り続ける姿がインターネットで中継されると、著名人が伴走するなど支援の輪が拡大。沿道を埋めた市民が次々にお金を手渡す様子は連日、メディアで報道され、12月23日時点で寄付金は9億8千万バーツを超えた。

 プラユット首相は12月4日、首相府にアーティワラーさんを招いて激励し、自ら寄付金を手渡した。しかし、インターネット上では「本来は保健省が解決すべき問題だ」「税金はどこへ消えたのか」と政府に対する批判が相次ぐ事態に。

 時を同じくして政権ナンバー2のプラウィット副首相兼国防相の不正蓄財疑惑が発覚。さらに今年、政府が中国製の潜水艦などの兵器を購入したことが「無駄遣い」と批判されており、そのしわ寄せで不足した医療予算をアーティワラーさんが体を張って埋めているとの見方が広がっている。

 「アーティワラーさんが首相候補になったら必ず投票する」との投稿も多い。

 アーティワラーさんは25日にゴールする予定。地元テレビに「小さな一歩でも皆が協力すれば、大きなことができる」と語った。

=2017/12/24付 西日本新聞朝刊=

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