嘉穂劇場(福岡県飯塚市)の柱や扉には風変わりな札がある…

西日本新聞

 嘉穂劇場(福岡県飯塚市)の柱や扉には風変わりな札がある。「十二月廿五日」と書き、なぜか上下逆さまに貼っている

▼きょう12月25日を希代の大泥棒、石川五右衛門の命日とする説に基づく。時は豊臣秀吉の時代。手下ばかりか母親や子どもも捕らえられ、京の三条河原で釜ゆでにされたとの伝説だ

▼盗人たちは今日まで尽きることがない。屋根や天井裏から忍び入った賊。物色しようと下をのぞき込む。そこで目にする札の日付。大先輩の壮絶な最期を思い返せば犯行をとどまるはず。「五右衛門札」と呼ばれ、戦前から続く泥棒よけのおまじないという

▼こちらは国際的泥棒行為である。北海道では無人島に北朝鮮の漁船員が上陸。島から発電機を盗んだ容疑で船長ら3人が逮捕された。ほかにテレビや冷蔵庫、ミニバイクも無くなっている。被害総額は800万円近くに上るそうだ

▼ニュースではシーズンさなかのカニ漁の被害も報じていた。仕掛けのカニかごを海底に沈めて引き揚げるまでの間に、違法操業の北朝鮮船がやってきて漁具ごとさらっていく。漁具は1本500万円以上もするので深刻な損害が出ている、と憤っていた

▼国際法の難解な条文を持ち出すまでもない。「他人の物を勝手に取ってはいかん!」。体制やイデオロギーがどう違っても、人として普遍の決まり事だろうに。「五右衛門札」を領海中に貼り巡らせたい日本海である。


=2017/12/25付 西日本新聞朝刊=

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