シャープ復活が示唆するもの

 シャープが経営不振に陥って、東京証券取引所第1部から第2部に降格されたのは昨年8月のことだった。

 存亡の機にあった創業100年超の老舗企業は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、再生する道を選んだ。日本の大手電機メーカーが外国企業に買収されるのは初めてで、当初は「鴻海主導で人員削減や工場閉鎖が進むのではないか」と危ぶむ声もあった。

 それから約1年4カ月、同社が予想以上の早さで東証1部復帰を果たした。再建にもたつく東芝と対照的だ。数々の不安を拭い去り、短期間で劇的に復活した要因は何か。

 シャープは2部降格後、鴻海の出資を受けて子会社になった。鴻海グループ出身の戴正呉氏が社長に就任し、部材の共同調達によるコスト削減などの構造改革を断行した。

 注目したいのは、再建の大前提として「One SHARP」の理念を明確に打ち出して実行したことだ。これにより買収前に社員らが抱いていた「シャープを切り売りして解体するのでは」との懸念を拭い去ることができた。

 人事制度の変化も大きな要因だろう。業績に応じて年間一時金(賞与)に最大8倍の差をつける報酬体系の導入など、徹底的な能力主義を取り入れた。こうした矢継ぎ早の改革が、相次ぐリストラで意気消沈していた社員の士気を再び高めていったという。

 効果はすぐに表れる。2016年度は本業のもうけを示す営業利益が3年ぶりに黒字となり、17年9月中間決算の純利益も3年ぶりに黒字化するなど業績改善が続く。

 超高精細な「8K」液晶テレビなど新商品も次々と発表して復活を印象付けている。

 経営者が交代するだけで、ここまで企業は変わるのか。しがらみのない外部からの経営者が強力に改革を推し進めてきた結果かもしれない。

 もちろん、これでシャープが完全復活したとみるのは早計だろう。急激な改革の反動もあるかもしれない。日本企業の在り方を見つめ直す上でも、シャープの動向に注目していきたい。


=2017/12/25付 西日本新聞朝刊=

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