ホストタウン 五輪の熱気をぜひ地方へ

西日本新聞

 2020年東京五輪・パラリンピックの参加国と地方の交流を国が後押しする制度がある。「ホストタウン」と呼ばれ、これを活用する自治体は今月の第5次登録で282に上った。

 地方の国際交流にとどまらず、地域活性化やスポーツ振興の契機ともなる取り組みである。個性豊かな多くの自治体が手を挙げることで、東京五輪の盛り上がりをぜひ地方へ波及させたい。

 ホストタウンは相手国を決めて交流事業を展開しながら、合宿の誘致などを目指す。国が財政措置や人材派遣で支援する。

 九州7県でも登録自治体の活動が活発化してきた。

 第5次登録でホストタウンとなった福岡県久留米市は、ケニア選手の事前合宿で基本合意している。宮崎県日向市は米国、鹿児島県鹿屋市はスロベニアをそれぞれ相手に合宿誘致に取り組んでいる。

 まずは、行政と住民が一体となって、参加国と着実に交流を進めることが大切だろう。たとえ合宿誘致へ至らなくても、その活動は決して無駄にはならない。

 政府は今秋、パラリンピック選手との交流を機に、宿泊施設や運動施設のバリアフリー化などに取り組む自治体を財政面で支援する「共生社会ホストタウン」の枠を新設した。大会への関心を高め、誰もが暮らしやすい街づくりを促す試みとして歓迎したい。

 ホストタウンの相手国は先進国やアジアが多い。日本では知名度が低い国にも、事前合宿のニーズはあるはずだ。一方で、同じ国の合宿誘致を自治体間で競い合うような事態も起きているという。国は参加国と関係自治体の間に入って調整役を果たしたらどうか。

 02年のサッカーワールドカップ日韓大会でカメルーンの合宿地となった大分県中津江村(現日田市)の成功例は今も語り草だ。大会後も続く交流の積み重ねは一つのお手本となるだろう。ホストタウンの登録審査では、大会後の交流も重視される。一過性のブームに終わらせず、息の長い地方の国際交流へつなげていきたい。


=2017/12/25付 西日本新聞朝刊=

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