「舞妓はレディ」ミュージカルに 博多座制作、来年3月上演

西日本新聞

周防正行監督のヒット作品

 京都の舞妓(まいこ)を志す少女の成長物語を描いたミュージカル「舞妓はレディ」が来年3月、博多座(福岡市博多区)に登場する。周防正行監督が手掛けた同名のヒット映画を劇場オリジナルで舞台化。博多座で13日に行われた制作発表では主人公春子を演じる唯月ふうかが「着物で演じるお芝居は初めてで、所作のお稽古など挑戦ばかり。春子とともに成長していきたい」と抱負を語った。

 なまりのきつい津軽弁と鹿児島弁を話す春子は、舞妓を夢見る少女。お茶屋で門前払いに遭いながらも、お客の言語学者が好奇心から後見人を申し出て、春子はお茶屋の仕込み(見習い)となり、京言葉を習得…とあらすじを聞くとオードリー・ヘプバーン主演の往年の名画「マイ・フェア・レディ」を連想する人も多いだろう。題名も構成ももじった映画は、要所に歌と踊りを入れ、上質のエンターテインメントになった。

 「映画を見て非常にやられた、と衝撃を受け、ジェラシーを感じた」と舞台版演出の寺崎秀臣。「シナリオがよくできているので、忠実にひもとくことから始めている」。映画のような場面転換は舞台では難しい。寺崎は、映画では春子が仕込みから舞妓になるシーンを「最大の難関」に挙げ、「舞台を見たら映画も見たくなるようなものを作りたい」と語った。

 一方、キャストは異口同音に「京都弁が難しい」。特に、唯月は津軽弁も鹿児島弁も習得しなければならないが、「本番までに舞妓さんになれるようしっかり先生に教わりたい」と明るく語った。唯月は博多座だけで8月以降、3作目の出演となる新鋭で、お茶屋のおかみを演じる榊原郁恵、言語学者役の平方元基=福岡市出身=が脇を固める。

 原作者の周防正行監督は「舞台に携わる人たちが舞台化したいと言ってくださって光栄です。観客の1人として楽しみにしている」と期待を寄せた。

 ◆ミュージカル「舞妓はレディ」 来年3月4~20日。A席1万2千円など。チケットは1月13日販売開始。博多座電話予約センター=092(263)5555。

 「非日常の空間を明るく楽しく」 原作者の周防監督

 上白石萌音主演で3年前に公開された映画「舞妓はレディ」は、「Shall we ダンス?」など周防正行監督作品を始め、過去の日本映画も連想させる仕掛けが随所にある楽しい作品だった。周防監督に映画や博多座による舞台化について話を聞いた。

 舞妓という最も日本的な素材に西洋的なミュージカルという組み合わせはどうやって編み出されたのか。監督は学生相撲を描いた自身の映画「シコふんじゃった。」を挙げて説明する。

 「あの映画は男の子が日本の伝統的な世界に入っていく話。生まれて初めてまわしを締めた学生が国技館の土俵に上がるのかよという驚きがあった。じゃあ今の日本の女の子にとって非日常の伝統的世界は何かと考え、舞妓が浮かんだ」

 綿密な取材に基づく人物設定や物語の構成で定評がある監督だが、京都の花街の世界は奥深く「何がリアルなのか取材しても分からなかった」という。舞妓を真正面からリアルに描いてもおもしろくない。「経済的に余裕のある大人が若い舞妓さんの成長を楽しむのはファンタジーの世界」とひらめき、「お座敷には歌と踊りがある。だったら非日常的な空間をミュージカルで明るく楽しく描こうと思った」と振り返る。

 映画では竹中直人や草刈民代、高嶋政宏らキャストの歌が意表を突いた。舞台のミュージカルは歌のうまさが求められるが、映画では「この役者さんはこう歌うんだと味わってもらう」趣向で、監督自身「あのときの撮影ほど楽しかったことはない」と語るほど俳優の個性を際立たせる装置として歌が効果的に使われた。

 では舞台版を楽しむポイントは? 劇場版の台本に目を通した周防監督は「映画と舞台は、時間と空間の使い方が大きく異なり、なるほどこうするのかと思うところがたくさんあった。ラブストーリーが映画よりも強調され、ヒロインの心の移ろいがどう描かれるのか楽しみです」と語った。

=2017/12/25付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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