きのうは英国の俳優チャールズ・チャプリンの没後40年…

西日本新聞

 きのうは英国の俳優チャールズ・チャプリンの没後40年。世界に愛された喜劇王は、クリスマスの朝、レマン湖を望むスイスの村で亡くなった。88歳だった

▼歴史の歯車が少しずれていれば、チャプリンはその45年も前に日本で命を落としていたかもしれない。私たちは「モダン・タイムス」や「独裁者」など後世に残る傑作を目にすることもなく-。そんな未来もあり得た

▼1932年5月。「黄金狂時代」や「街の灯」のヒットで人気絶頂だったチャプリンは、世界周遊の途中で日本に立ち寄った。犬養毅首相と会う予定もあったが、当日、チャプリンは面会を延期し、相撲見物に行った

▼この日、首相官邸で起きたのが「五・一五事件」。乱入した青年将校らに犬養首相は銃撃され、死亡した。一説には、チャプリンも襲撃の対象に入っていたとも。いずれにせよ、運良く事件の巻き添えを逃れた

▼弱い者、貧しい者に温かい目を注ぎ、金持ちや権力者、社会の矛盾を笑いの中で痛烈に風刺したチャプリン。戦争を憎み、「独裁者」ではヒトラーを徹底的にこけにした

▼チャプリンといえば、山高帽にステッキ、ちょびひげ、だぶだぶのズボン、どた靴…。当たり役「放浪紳士(トランプ)チャーリー」のいでたちだ。チャプリンが健在なら、勝手気ままに権力を振りかざす、放浪紳士を思わせる名の超大国の指導者を、どんなふうにちゃかしてくれようか。


=2017/12/26付 西日本新聞朝刊=

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