夢一直線奏で25年 障害者プロバンド藤田さん 「音楽家に」実現年50年回公演

西日本新聞

 知的障害者でつくり、福岡市を拠点に活動するバンド「JOY倶楽部(くらぶ)ミュージックアンサンブル」が来春、結成25周年を迎える。障害者だけのプロ演奏家グループは珍しく、今やメンバー31人は佐賀、熊本など九州各地から集まる。このうち結成時から参加するダウン症の藤田育子さん(45)は、親元を離れてバンド活動に専念してきた。音楽家になりたいとの少女時代からの夢を実現し、バンドメンバーを引っ張っている。

 中学校の合唱コンクールでオルガンを弾いたり、特別支援学校高等部の授業でリコーダーを吹いたりした経験があった藤田さん。「アイドルや音楽家になりたい」と小さい頃から思い描いてきた。

 バンドは、福岡市の小児歯科医、緒方克也さんが歯科医院を訪れる障害児たちに呼び掛けたのがきっかけで、1993年に発足した。福岡市博多区の倉庫に藤田さんたち11人が集まり、週1回の練習を始めた。

 アマチュアバンドとして活動していたが、緒方さんが障害者授産施設「JOY倶楽部プラザ」を設立したのを機に、同事業所の「仕事」として2002年から活動。藤田さんはクリーニング店を辞め、04年には自宅を離れてグループホームに入居し、事業所の練習場に通う。

 収入は障害基礎年金のほか、月2万4千円に公演料やCDの売り上げが加わる。親からの援助は受けず、プロバンドの一員として年2回の自主公演のほか、結婚式や学校などで年50回程度のコンサートをこなす。「仲間たちとさまざまな楽器の音を重ねていくバンド演奏の魅力に引き込まれ、充実した日々」という。

 メンバーとの関係に疲れ、「辞めたい」と思ったときもある。逆に、注意すると聞き入れてくれるときもあり、「ここに自分の役割がある」と生きがいも感じている。

 バンドは5枚のCDを出した。藤田さんが主に担当するのは口で吹くウインドシンセサイザー。クラシックや映画音楽の名曲、オリジナルソングなど約30曲がレパートリーだ。「ニューヨークのカーネギーホールに立つのが夢」。精いっぱい奏でる自分たちのバンドの魅力を、多くの人に届けたいと思っている。

   ◇    ◇

 バンドは1月14日午後3時から、福岡市中央区の市立中央市民センターでニューイヤーコンサートを開く。前売り券は大人2500円など。

=2017/12/23付 西日本新聞朝刊=

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