高校の「朝課外」は必修? 生徒の意思尊重を 福岡県教委が各校に通知

 九州の県立高校で定着している始業前の補習を巡り、福岡県で議論が起きている。「朝課外」「朝補習」と呼ばれる補習の受講は本来任意だが、多くの高校で事実上の必修扱いが続いているためだ。効果を実感できず体力的にもきついと訴える生徒や、負担感の強い教員は少なくなく、同県教育委員会は11月、受講について生徒の意思を尊重するよう各校に通知した。ただ、受講しない生徒が増えれば学力格差が広がる懸念もある。長年の慣習は変わるのか-。

 県教委によると、朝課外は教育課程に基づく正規の授業ではなく、PTAや同窓会などが主催する形を取る。多くは平日午前7時半~8時20分に45分程度、国語、数学、英語を中心に補習として問題集などを解く。教員は時間外勤務扱いで、主催者側が1分当たり60~70円の報酬を保護者から集め、教員に支払う。

 文部科学省や九州各県教委によると、全国的に朝課外は一般的ではないが、九州では大半の県で一定程度定着している。福岡県内では塾や予備校が少ない地域で遅くとも1970年代に始まり、現在は普通科のある高校の9割近くが実施しているという。

 受講に生徒の意思は重視されていない。県教委が今夏、無作為に選んだ県内6校に状況を確認すると、いずれも生徒に参加、不参加の選択肢を与えていなかった。「他校の多くも同様だろう」(県教委高校教育課)とみる。

 福岡市のある県立高校もほぼ全員が出席する。教頭は「演習をこなすことで学力を底上げし、進学率向上にもつながっている」と強調するが、生徒側には年度初めに「課外に協力をお願いします」などと文書で通知するだけという。

 朝課外の「必修」を疑問視する声は少なくない。昨年度以降、県ホームページの県政への意見募集には「欠席すると奉仕作業をさせられる」「睡眠不足になり効率が悪い」など15件の投稿があった。9月には県議会代表質問で議員が取り上げ、生徒に朝課外を強いる実態を問題視した。

 また一部の高校では、朝課外を補習ではなく授業に組み込む逸脱が常態化。朝課外で教科書を使った通常授業が行われている福岡市の高校1年女子は「休むとついていけない。貧血気味の同級生も無理して出席している」と漏らす。

 教員の負担も大きい。朝課外は教員の同意が前提だが、ある国語教諭は「長年の慣習で断れない」。福岡市近郊の高校の数学教諭も「毎日の準備も大変。選択制を徹底して日数を減らし、生徒、教員の双方の負担軽減が必要」と話す。県高校教職員組合は本年度、朝課外の実態把握に乗り出している。

 こうした声を受け、県教委は11月、朝課外などの補習について「本人と保護者に参加の意思を必ず確認」することを求める通知を全校に出した。ただし朝課外自体は「生徒の費用負担は少なく、効果もある」との立場。選択制を徹底すれば、受講しない生徒が増える可能性はあり、ある高校の進路指導担当教諭は「生徒間の学力差が広がるかもしれない」と懸念する。

 九州大大学院の元兼正浩教授(教育行政学)は朝課外について「予備校がない時代に始めた当初は進学保障の観点からそれなりに意義はあっただろう。だが今は比較的安価なインターネットの学習教材などもあり、参加への生徒の任意性は尊重されるべきだ。教員の働き方改革も踏まえ、効果を検証する時ではないか」と指摘する。

=2017/12/27付 西日本新聞朝刊=

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