リニア談合 どこに行った「決別宣言」

西日本新聞

 「夢の超特急」といわれるリニアモーターカーはかつて、宮崎県日向市-都農町間に初の実験線があった。九州にも縁が深い。

 そのリニア中央新幹線工事の入札を巡り、大手ゼネコン4社が受注調整をしていた疑いが持たれている。これまで何度も繰り返されてきた談合事件である。

 東京地検特捜部と公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで、大林組、鹿島、清水建設、大成建設を家宅捜索した。入札前に受注予定者や入札価格を決めていた疑いがある、とされる。

 このうち大林組は他社との受注調整を認めた。公取委に対し、課徴金減免制度に基づき、違反を申告した。

 工事は民間企業であるJR東海の事業だ。国など公の入札に適用される刑法の談合罪は成立しない。今回は発注者が官か民かを問わず、公正な競争を阻害することを禁じた独禁法が適用された。

 とはいえ、事業は政府が関わる国家的な巨大プロジェクトといっていい。東京-大阪間を1時間余りで結ぶ新幹線の整備だ。総工費は9兆円に上り、うち3兆円は国の財政投融資を活用する。

 談合で工事費が膨らめば、談合したゼネコンがもうかる一方で、将来的には乗客が支払う運賃にはね返る恐れがある。

 大手4社は国がリニア整備計画を決定した2011年ごろから、受注希望を調整していたとみられている。JR東海によると、これまでに契約した計24件の工事のうち、15件は4社がそれぞれ代表を務める共同企業体(JV)が3、4件ずつ受注している。

 背景には高い技術が求められる工事の特殊性もあろう。27年に先行開業する東京-名古屋間のうち8割余をトンネルが占める。各社は入札業者が限られる環境を利用した可能性が指摘されている。

 大手ゼネコンは05年に「談合決別」を宣言した。しかしその後も、東日本大震災の復興工事で談合が摘発されるなど、体質は改まっていない。徹底した捜査による全容解明を求めたい。


=2017/12/27付 西日本新聞朝刊=

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