益城の身代わり観音元気になって 住民感謝、福岡で修復へ

西日本新聞

 熊本地震で壊れた熊本県益城町下陳(しもじん)の龍池山千光寺の本尊「木造千手観音菩薩(ぼさつ)立像」(町指定文化財)の修復作業が今年から福岡県糸島市の専門工房で本格化する。下陳地区は活断層上にありながらも住宅被害が比較的少なく、観音像は住民から「身代わりになってくれた」と感謝されていた。復興の象徴として観音像が戻ってくるまでに全壊した本堂と山門の再建も目指している。

 観音像は高さ約2・7メートルで熊本県内最大級の仏像とされる。平安時代後期に作られ、千光寺が建立された室町時代に別の寺院から移されたとみられている。震災前の2016年3月、町指定文化財になった。

 住民によると、翌月16日の本震で本堂と山門が全壊。観音像は足元から折れて転倒し、腕も複数本折れた。本堂と山門の解体に伴い、境内のプレハブ小屋で保管されていた。

 寺は住職がいない。管理している小路洋一さん(65)は「観音様は住民の心のよりどころ」と話す。子どもの頃は境内が遊び場で、今でも正月や夏の例祭の際、住民が本堂に集い観音像の前で食事をしながら語り合うという。自宅が全壊した小路さんは、変わり果てた観音像を目にした時のことを「命が無事だったのは観音様のおかげ。心の中で泣きました」と振り返る。

 震度7を2度観測した益城町は倒壊家屋が多く、被災した文化財の修復は進んでいない。下陳地区の住民は住友財団から491万円の助成を得て糸島市の工房に修復を依頼した。観音像は既に糸島へ移されており、住民たちは昨年末に工房を訪ねてお参りをした。

 修復は2年計画。並行して行う本堂と山門の再建費用約1500万円は県の復興基金と住民の寄付金でまかなう。下田一任(かずひと)区長(65)は「自分たちの代で観音様を失うわけにはいかない。できることを精いっぱいやりたい」と話す。

=2018/01/05付 西日本新聞朝刊=

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