【新年特集】日本一早い始発列車(1) 明けない夜はない 柳ケ浦駅

西日本新聞

出発前の「日本一早い始発列車」。静寂に包まれた柳ケ浦駅ホームに、ひっそりとたたずむ 拡大

出発前の「日本一早い始発列車」。静寂に包まれた柳ケ浦駅ホームに、ひっそりとたたずむ

出勤のため柳ケ浦駅から3駅目の天津駅で乗車した男性。車内はひっそり、外は暗闇のままだ 柳ケ浦駅の駅名板

 身近な駅から列車に飛び乗れば、線路がつながっている限り、どんな遠くへも私たちを運んでくれる。九州に初めて鉄道が通ったのは1889(明治22)年。以降、先人が汗水を垂らして敷設した鉄路は120年以上にわたり、私たちの暮らしを支えてきた。県内にはJR九州の日豊、久大、日田彦山、豊肥の4路線が敷かれている。災害で一部が不通となっている今、その重みを考えてみませんか-。

 12月初旬、午前4時10分、宇佐平野にある日豊線の柳ケ浦駅(宇佐市)。空高くから月の光が駅舎を照らす。2番ホームには、せわしなく動くJR九州の制服姿の男性が2人。出発準備の整った6両編成の普通列車のモーターが震えだし、熱を帯びてきた。

 中野浩一さん(58)は運転席に座り、両手にゆっくりと白い手袋をはめた。運転手の経験は約30年。この席には月1、2回座る。「今日も一つ一つ、時刻通りに」。意識は良し、計器も良し。ペアを組む乗務員とつながる無線も問題ない。

 午前4時17分、出発。

 唯一の乗客が4両目にいた。笠原人己さん(64)。駅構内や列車内の掃除をJR九州の関連会社で担当している。前日の午後7時から柳ケ浦駅で働き、2時間前に終わった。仮眠し、列車を待っていた。

 自分が仕立てた列車で家路に就く。「今日は特に汚れてなかったな」。でも、年末年始を思うと苦笑いが漏れる。宴会帰りの酔っぱらいが戻すことがある。その時期、1時間くらいの残業は仕方がない。

 今年は2人で暮らす妻と温泉旅行がしたい。去年は買い物と日帰りの花見くらいだったから。1泊2日でも、近場でもいい。列車は自宅最寄りの中津駅(中津市)に着いた。6駅、18分の乗車。笠原さんの一日がやっと終わった。

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