米国混迷トランプ政権1年 NY株が初の2万5000ドル超 息巻く大統領、漂う不安

西日本新聞

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米政権下で上昇が続くニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均が4日、史上初めて2万5000ドルを超えた。「とてもとても大きな壁を簡単に突破した」。トランプ大統領は好調な株価を政権の成果と強調し、今後の経済運営に自信を示すが、トランプ氏の経済政策は大企業が潤えば社会全体に行き渡るという「トリクルダウン」理論に基づくとの指摘もある。日本と同様、米国でも「中間層や地方には効果が及ばないのでは」との不安感が漂う。

 この日午前、ホワイトハウスで与党共和党議員らとの会合に臨んだトランプ氏。テーマは移民政策だったが、記者団を前にすると株価の話を切り出し「大統領の任期終了前どころか就任11カ月で突破した。次は3万ドルだ」と息巻いた。

 よほどうれしかったのか、午後の報道官会見にも「特別ゲスト」として異例のビデオ出演。法人減税を柱とする大型減税法が昨年末に成立した具体的な効果として「60以上の企業が自主的に賃上げを決めた」などとアピールしてみせた。

 昨年1月の就任直後に2万ドルを超えた株価は伸び続け、都市部に限らず南部ウェストバージニア州のような地方でも「年金運用益が大幅に増えた」(退役軍人男性)といった声が聞かれる。クリスマスまでの年末商戦の小売売上高は前年より5%ほど増えたという。

 堅調な経済を背景に、トランプ氏が今後の経済成長に向け、どうかじ取りするかについて企業経営者らが恐れるのは、保護主義政策のごり押し。特に日系企業が懸念するのが、越年した米、カナダ、メキシコ3カ国の北米自由貿易協定(NAFTA)の修正協議だ。

 自動車関連を中心にメキシコに多くの企業が進出する中、「米国第一主義」のトランプ政権が米国外での生産部品に不利な内容にこだわればコスト増につながり、部品調達網などの見直しを迫られかねない。

 「民主党政権だったら株価は半減する」と自信満々で、他国との「経済戦争」も辞さないとされるトランプ氏。だが、大型減税といったトリクルダウン色の濃い政策がそもそも奏功するのか、疑問の声も上がる。

 ウェストバージニア州の自動車部品工場で働くバラードさん(55)は、トランプ氏の政策を「他国との妥協も必要なのに独断的すぎる」と批評した上で、こう言い切った。「企業が収益を従業員に還元し続けて俺たちが潤うだって? そんな希望的観測は信じない」

=2018/01/06付 西日本新聞朝刊=

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