洪水犠牲者ほぼ全員が浸水想定区域外 九州豪雨を静岡大教授調査

西日本新聞

 昨年7月の九州豪雨で、死者・行方不明者41人(災害関連死を除く)のうち、洪水による被災者のほぼ全員が河川の氾濫で浸水が想定される「洪水浸水想定区域」の区域外で被害に遭ったとみられることが、静岡大防災総合センターの牛山素行教授の調査で分かった。同区域は大河川を主な対象に国や県が設定。九州豪雨で大きな被害が出た中小河川は設定が進んでおらず、「流域住民の間で危険が事前に共有しづらい」との指摘が出ている。

 牛山教授は41人のうち「洪水」による被災を18人、土石流や土砂崩れなど「土砂災害」による被災は23人と分類。洪水の18人のうち、新聞報道などから14人の被災場所を推定した。その結果、14人は全て「浸水想定区域」外で被災。区域から30メートル以内でも2人にとどまった。

 一方、土砂災害で被災場所が推定できた22人のうち、土石流などの恐れがあると国が指定した「土砂災害危険箇所」で被災したのは19人。残る3人も危険箇所周辺で被災したとみられ、災害時の情報伝達などの在り方に課題を残した。

 九州豪雨の被害は福岡県朝倉市の赤谷川や佐田川など中小河川の流域に集中。しかし死者・行方不明者が34人に上った同市で、被害が出た河川のうち住民に危険情報を伝える「洪水ハザードマップ」を作成していたのは佐田川だけだった。

 牛山教授は、全国に多数ある中小河川全てに洪水浸水想定区域を設けることについては「技術的に難しい」と説明した。ただ、被害が目立った被災地は、山間部の河川沿いで河川が運ぶ土砂が堆積した「谷底平野」にあり、大雨で河川の水位が上がれば洪水が発生しやすいとされるため「河川に架かる橋の高さよりも低い土地は浸水への警戒が必要だ」と指摘。地域事情に応じて行政や住民が一体になった対策の必要性を訴えた。

=2018/01/07付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ