思いも寄らない来客に両親が驚いていた

西日本新聞

 思いも寄らない来客に両親が驚いていた。実家を訪ねてきたのは、保育所の担任だった女性。本紙の聞き書き「父ありてこそ」に私の署名があるのを見て、と言われたそうだ。40年以上前の教え子を覚えていたことに私も驚いた。どんな園児だったのやら。

 連載した昨年8月から12月にかけて、幸い、たくさんの人から「読みました」と声を掛けてもらった。はがきや封書もいただいた。一人一人異なる筆致の感想を読むたび、背筋が伸びる思いだった。

 主人公の林力さん(93)にも旧知の人、そうでない人からの反響が届いた。昭和20年代に教え子だった人からの連絡も本社にあった。記事をきっかけに人の縁ができたり、結び直されたりするのは、記者冥利(みょうり)に尽きる。

 残念だが新聞を読む人は減っている。私たちは誰のために、どこを向いて記事を書くのか。年の初めに気持ちを新たにしたい。「読者ありてこそ」であろう。 (前田隆夫)

=2018/01/07付 西日本新聞朝刊=

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