表紙カバーのあらすじに「福岡」とあり

西日本新聞

 表紙カバーのあらすじに「福岡」とあり、韓国人作家キム・エランの短編集「走れ、オヤジ殿」を衝動買いした。

 表題作は主人公を身ごもった臨月の母親を置いて父親が出奔する物語。ふがいない父親の走る姿に主人公が想像を巡らせる時、グリニッジ天文台やスフィンクスと並びなぜか福岡が出てくる。描写も説明もない。福岡は作家の日常に溶け込んだ場所なのだろうか。情けない登場人物の描き方とともに親近感を覚えた。

 プロ野球を題材にしたパク・ミンギュの小説「三美スーパースターズ」では広島カープが登場するなど隣国の小説に時折「日本」が顔を出す。

 昨年出た前述2冊をはじめ韓国文学の邦訳が充実している。異国を知る感覚よりは日本人と似た情緒にうなずき、韓国人のウイットに噴き出す。「韓国人はどう考えているのか」。歴史認識問題などに絡みそう尋ねられると、近ごろは小説を読んでみてくださいと答える。 (神屋由紀子)

=2018/01/08付 西日本新聞朝刊=

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