酒はいかに飲むべきか…

西日本新聞

 酒はいかに飲むべきか。否、いかに酒にのまれずに飲むか。この難題に先人たちがありがたい教えを残している

▼江戸時代の文筆家、大田南畝(なんぽ)が記したのは「飲酒法令」。酒を飲むべき五カ条を定めた。「節供(句)礼儀には飲む」。誠にその通り。「珍客あれば」飲み、「肴(さかな)あれば」飲む。引用すべきだったのか先行き怪しいが、後は「月雪花の興あれば」飲み、「二日酔いを解くため一人飲む」

▼失礼しました。要は一年中飲むための口実でした。けれど南畝先生、大勢で一気に飲むような「群飲」や「長夜の宴」「終日の飲」は禁じている。本当においしい酒を愛したのだろう

▼吉田兼好の「徒然草」は歯切れよい。「酒は百薬の長というが酒が原因の病気もいっぱいだ」と切り捨てる。嫌酒派か、と思えば「時と場合では捨てがたい風情がある」「差しつ差されつの意気投合は実にうれしい」とまさかの腰砕け。酒の功罪は理屈で飲み干せそうもない

▼今日は成人の日。20歳を迎え、仲間と酌み交わす門出の祝い酒は格別だろう。そこまでは分かる。酔って暴れて他人様に迷惑を掛け、警察の厄介になる大ばか者が毎年いる。わが身を滅ぼすような飲み方は厳に自制を願いたい

▼天下国家を楽しませるのが上の酒。中の酒は自ら愉快で人を困らせない。己(おのれ)も苦しみ人に迷惑を及ぼすのが下の酒という。中の下辺りを漂うわが身とご同輩も心すべき教えかと。


=2018/01/08付 西日本新聞朝刊=

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ