ブラームス国際優勝「飛躍の年に」 バイオリンの中村太地

西日本新聞

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「日本でももっとクラシック音楽が身近になってほしい」と語る中村太地

3月に故郷・北九州市で記念公演

 昨秋、ブラームス国際コンクールで日本人初優勝を果たしたのに続き、直後のロドルフォ・リピツァー国際コンクール(イタリア)で3位に入賞するなど北九州市出身のバイオリニスト中村太地(だいち)(27)の活躍が目覚ましい。小倉高卒業後、音楽の都に留学し、ウィーン国立音大大学院で研さんを積む。3月に響ホール(同市)での凱旋(がいせん)公演が開催されるなど日本と欧州で演奏の機会が増えており「優勝を弾みに今年は飛躍の年にしたい」と意気込む。

 昨年末、アクロス福岡(福岡市)主催のカジュアルなコンサートに登場した中村は、クライスラーやサラサーテのポピュラーな曲を取り上げ、音楽の都の風を運んできたようなすがすがしい演奏で聴かせた。

 メリハリの効いた緩急の付け方やフレーズの収め方に特徴がある。そう感想を話すと、本人は現在の師、ミヒャエル・フリッシェンシュラーガー(ウィーン国立音大名誉学長)の言葉を挙げた。「音楽は言葉から来ている」。名匠が口を酸っぱくして言い続けた教えだ。

 「曲は言葉のアクセントに基づいて書かれている。欧米系の言語は語頭にアクセントが来る言葉が多く、日本語とは異なる。だからアジア人の音楽に違和感があるのでしょう」

 留学当初、レッスンで怒られても違いが分からなかった中村も、今ではむしろそうした観点で他人の演奏が気になるという。

 バイオリンを始めたのは3歳から。山口芸術短大講師だった父親とピアノを弾く母親が「大学生になってもオーケストラに入ったりして趣味で続けられる」と弦楽器を選んだ。

 小学4年生から国内のコンクールに出場し、優勝経験も。「そのときに付いた変なプライドでやめられなくなった」。そのころからロシア出身のアナスタシア・チェボタリョーワやNHK交響楽団コンサートマスター時代の堀正文らに師事し、着実に力を付けて国内外のコンクールで入賞を重ねてきた。

 昨年の優勝を受け、地元では3月10日の響ホールでの優勝記念リサイタルに続き、5月26日には福岡県中間市のなかまハーモニーホールの企画で九響メンバーと共演する。「クラシック音楽の本場で学びたい」と留学したウィーンを拠点にコンクールに挑戦し続け、欧州でオーケストラのコンサートマスターや大学の教壇に立つ夢を描く。

 音楽の世界で活躍が期待される演奏家だが、将棋界からも注目される存在だ。名前の読み方は異なるものの漢字で同姓同名の中村太地(たいち)王座は2歳上の同世代。共通の知人の引き合わせで友人になり、一昨年には将棋雑誌で同姓同名対談、昨年12月の王座就位式に出席するなど交流を深める。

 「お互いネットで検索したりして幼いころから相手の存在は知っていたので会っても違和感がなかった。刺激になるいい友人です」

=2018/01/06付 西日本新聞夕刊(娯楽面)=

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