女性活躍推進 「働き方改革」と連動して

西日本新聞

 新年を祝う企業や団体の会合が九州各地で開かれている。見渡せば壇上も会場も大半が男性という場合が多くはないだろうか。

 もっと多くの女性がいてもいいはずなのに、この“落差”は何なのだろう。

 内閣府が昨年末に発表した「男女共同参画推進状況」によると、企業の課長級に占める女性の割合は1割にすぎない。役職が上がるほど女性の割合は小さくなる。

 結婚・出産を機に離職する女性は後を絶たない。男女雇用機会均等法は配置、昇進などで性別による差別を禁じているが、管理職に結び付く「総合職」に男性が多く、事務系の「一般職」は女性中心という企業は珍しくない。

 「男女共同参画」から「女性活躍推進」へ-。時代とともに女性の社会進出とそのための環境整備は進んできたが、進出を阻む「壁」や「天井」はまだ厚く高い。今年こそは社会全体でこうした阻害要因を取り除く1年としたい。

 ●地方議会の「古い体質」

 計画立案や方針決定の場に女性が少ない現状は、国から地方議会まで政治の世界でも変わらない。

 とりわけ、女性の政界進出の遅れは九州で際立っている。

 総務省によると、都道府県議に占める女性の割合は2016年末時点で、福岡を除く九州6県で全国平均(9・9%)を下回る。市区議の女性比率を都道府県別に評価するとワースト5に長崎と大分、佐賀の3県が入る。いずれも10人に1人も女性議員がいない。

 極端な男女比の偏りは、地方議会の「古い体質」の象徴といえるのではないだろうか。

 「『女だてらに』とせせら笑われながら、肥後女性の封建性からの解放と向上を訴えた」

 戦後に女性の参政権が認められ、1946年の衆院選で39人の女性議員が誕生した。その一人、熊本の山下ツ子(ね)さんの弁である。

 それから70年余を経ても「女だてらに」という意識が残存しているとしたら、由々しき問題だ。

 政府は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にすることを目標に掲げている。ところが、衆議院の女性比率は昨年の衆院選後も10%程度にとどまる。国際水準には遠く及ばない。

 議員立法で衆参両院や地方議会の女性議員増を目指す「政治分野の男女共同参画推進法案」は昨年の衆院解散で廃案となった。

 女性の政界進出が進めば、より多様な市民の声が政策に反映される。暮らしに身近な問題に議会が関心を持つ契機ともなろう。

 超党派の議員連盟が法案の再提出に向けて準備を進めているという。今年の通常国会に提出し、速やかに成立させてもらいたい。

 熊本市議会で女性市議が乳児を連れて議場入りし、議論を呼んだ。市議は「育児と仕事の両立に苦しむ声を体現したかった」と思いを語った。主張を訴える方法には賛否があるにせよ、問題提起の意義は重い。「両立に苦しむ人」の大半が女性である現実を、社会全体で受け止める必要がある。

 ●仕事と暮らしに輝きを

 「男は外で働き、女は家を守る」-。そんな固定的な性別役割分担意識は、近代以降の日本社会を長く覆ってきた。企業はもとより、家庭や学校など社会の隅々にまで広く深く根を張っている。

 内閣府によると、この伝統的な役割意識は時代が移るとともに薄れてはいる。それでも、16年の調査で男女ともに4割前後が「賛成」と回答している。

 いまだ強固なこの役割意識が、女性の社会参画の壁となっている。同時に、男性から家族と過ごす時間と地域社会と関わる余裕を奪ってきたともいえよう。

 「女性が輝く社会へ」。安倍晋三首相が繰り返し口にするキャッチフレーズだ。女性の社会参画を後押しすることに異存はない。ただし、それは単に女性が仕事一筋に働くことを目指すものであってはなるまい。会社役員など高い社会的地位に就くことだけが人生の「輝き」ではないからだ。

 子どもを育てながら仕事を続け、家族や友人と過ごす時間もゆったり持てる。日々の小さな「輝き」にあふれた生活こそ男女を問わず大半の市民が求めるものだ。

 女性活躍の推進と働き方改革をうまく連動させ、そんな心豊かな暮らしを国民に広く行き渡らせる政策を政府に期待したい。


=2018/01/09付 西日本新聞朝刊=

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