熊本地震関連死16歳、命の詩集 心臓病と闘った松崎さん 「ありがと」母への感謝紡ぐ

西日本新聞

 昨年4月の熊本地震をきっかけに体調が悪化して亡くなり、震災関連死に認定された熊本市の松崎胡桃(くるみ)さん(享年16)が生前、思いをつづった詩集が出版された。生まれつきの心臓病で寝たきりだった胡桃さん。わずかに動く左手でパソコンを使い、家族へのメッセージを残した。3日、同市であった出版記念の催しで母久美子さん(48)は「まっすぐで頑張り屋さん。苦しくても常に前を向いて生き抜いた」と涙ぐんだ。

 胡桃さんは心臓の血液がうまく流れない病気。2歳で低酸素脳症となって以来、日常生活で人工呼吸器が外せないようになった。会話は難しかったが、熊本養護学校(現熊本支援学校)2年生のとき、訪問教育の先生に文字入力を習った。

 「まま そだて ありがと」。マウスに接続された棒状の機器を動かし、画面のキーボードから、時間をかけて一字一字、拾った。初めて紡いだ言葉は、母への感謝の気持ちだった。

 好きな言葉は「あいときぼう」。家族や命についての詩が多かったが、11歳の時には「ちいさいころから ぼんようないきかたは したくなかったので わたしも いろいろなことに ちょうせんしたい」と記し両親を驚かせた。「抱っこできるくらい小さな体だけど、心はちゃんと成長している」

 ささやかな日常は昨年4月14日の地震で暗転した。鼻から栄養を注入していた胡桃さんは、呼吸が乱れけいれん。停電で人工呼吸器も使えなくなった。2日後には本震が襲い、かかりつけの熊本市民病院からは「倒壊の恐れがある」と受け入れを断られた。余震が続く中、車中や自宅での生活を余儀なくされた。

 環境変化がストレスとなり、昨年7月に緊急入院。容体は好転せず、同9月16日に息を引き取った。亡くなる前の5月。最後に残した文章では、地震についてこうつづっていた。「たくさんのいのちうばわれた みんないきていたかったはずなのに」

この記事は2017年11月04日付で、内容は当時のものです。

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