マンション運営の主体性

西日本新聞

 自宅マンションの管理組合で、理事長の役職が回ってきた。経験された方も多いのではないだろうか。

 実務は管理会社に委託しているので、大きな問題は起きないと思う。ただ多額の出費を伴う事案もある。長い目で見て判断ミスをしていないか、不安もよぎる。

 最高裁は昨年12月、管理組合の理事会の判断で理事長を解任できるとする初の判断を示した。福岡県久留米市のマンションで管理会社の選定を巡って理事長と他の理事が対立し、解任を巡る訴訟に発展していた。

 この管理組合を含め、全国のマンションの約9割は国土交通省の「標準管理規約」に準拠した規約を持っている。

 規約は、理事長の選任は「理事の互選」とする一方、理事会による解任は明記していない。最高裁判決は、選任できるのだから職を解くこともできるとの判断を示した。

 大本のトラブルには触れていないため、なぜ管理会社でもめたかは分からない。ただ全国的に管理会社選びは、マンション運営を巡る大きな課題になっている。

 分譲時の管理会社はマンション開発会社の関連企業である場合が多い。入居者からすれば、初めは知識に乏しいため、その方がありがたい。

 その後は「競争原理が働きにくく、コスト意識が低い」という不満が漏れ始めることがある。経費削減などのために管理会社を変更したマンションは2割近いという。

 背景にあるのは入居者と建物自体の「高齢化」だろう。マンション建設は1970年ごろから本格化し、戸数は今、当時の50倍近い630万戸余に上る。「ついのすみか」と考える人は半数を超えるという。そのためには定期的な大規模改修が必要だ。一方で子どもの独立などでマンションを手放す人が増え、空き家も目立っている。

 転勤の多さを口実に理事会と業者任せにしてきたわが身を省みる。最高裁判決は入居者の責任と主体性を問うているのかもしれない。


=2018/01/14付 西日本新聞朝刊=

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