交通事故死最少 「尊い命」守る対策さらに

西日本新聞

 数は減っても、尊い命が奪われている現実に変わりはない。事故防止対策を一段と徹底したい。

 警察庁によると、昨年1年間に交通事故で亡くなった人は3694人で、統計が残る1948年以降で最少となった。最多だった70年の1万6765人と比べ5分の1の規模である。

 かつては「交通戦争」と呼ばれ、深刻な社会問題となった。当時と数字だけを比べれば、確かに隔世の感があるといえるだろう。

 交通安全対策基本法が制定されたのもその70年だった。本格的な事故対策の幕開けである。以降、繰り返される悲惨な事故を何とかして減らそうと、道交法など関係法令が次々に改正されていった。

 その基本思想は「人優先」である。横断歩道の整備のほか、違反車両の取り締まり強化に加え、安全教育が徹底された。最近では、住宅地などで車の速度を時速30キロ以内に制限する区域「ゾーン30」の整備も進んでいる。

 交通事故件数も昨年は47万2千件余とピーク時(2004年)の半数になった。飲酒による死亡事故の減少にも注目したい。福岡県では記録が残る65年以降、初めてゼロとなった。飲酒運転そのものを根絶する契機としたい。

 これから特に重要なのは高齢者対策である。昨年の死者のうち65歳以上は全体の5割に上る。

 事故から守ると同時に、加害者にさせない努力が必要だ。前橋市では道路を逆走して女子高生2人をはねたとして85歳の男が自動車運転処罰法違反の疑いで逮捕された。高齢のため家族は日ごろから運転しないよう説得していたが、聞き入れなかったという。

 運転免許を自主返納する高齢者が増えている。ただ「運転させなければいい」という発想だけでは限界がある。車がなければ買い物や通院ができない地域もある。地域巡回バスの充実などが求められる。開発が進む自動運転車にも安全性を含めて期待したい。

 人に優しい交通の環境をつくり、安全意識も高めて、交通事故死ゼロの社会を目指したい。


=2018/01/14付 西日本新聞朝刊=

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