がん転移関与のペプチド発見 久留米大などの研究グループ 抗体投与で抑制、新薬期待

西日本新聞

 久留米大と久留米総合病院(福岡県久留米市)の研究グループが、がんの転移に作用するペプチド(アミノ酸の結合体)を突き止め、オランダの医学誌(電子版)に発表した。がん細胞が他の臓器や器官に転移した患者の血液に特定のペプチド(転移ペプチド)が現れることを確認し、がん細胞の増殖につながる血管新生も促していたという。動物実験では、転移ペプチドの働きを抑える抗体の投与で転移を防ぐ効果が出ており、新薬開発が期待される。

 同大医学部の津留美智代講師によると、肝臓がんの元患者47人を追跡調査。5~10年後、骨に転移したグループと、転移しなかったグループに分けて血液を解析した。

 この結果、転移したグループには転移ペプチドが出現。乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんなどの患者の追跡調査でも同様の結果で、転移したがん細胞からも転移ペプチドが見つかった。転移しなかったグループには一切現れなかった。

 がん細胞の増殖には大量の酸素と栄養素が血中に必要とされ、細胞周囲の血管新生が補給路の役割を果たしている。動物実験で転移ペプチドを胚(受精卵)に注入したところ、胚内に血管新生が起きることを確認。試験管内の実験で、がん細胞を転移ペプチドが入った溶液に入れると、がん細胞同士の接着が弱まり、転移しやすい状態になったという。

 がんを治療したマウスに転移ペプチドの機能を抑制する抗体を投与すると、がんの転移は見られず、副作用もなかったという。既に製薬会社から創薬に向けた相談があり、津留講師は「転移ペプチドは、がんの転移に重要な役割を果たしている。早期発見にもつなげ、転移に対する不安をなくしたい」と話している。


=2018/01/08付 西日本新聞朝刊=

PR

医療・健康 アクセスランキング

PR

注目のテーマ