店舗で再起「屋台」守る 公募落選、廃業の危機乗り越え 中央区の長浜満月、リヤカー運び込む

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 福岡市が2016年に実施した屋台経営者の公募制度で落選後、廃業の危機を乗り越えて営業再開にこぎ着けた“屋台”がある。中央区長浜2丁目の「長浜満月」だ。居酒屋として生まれ変わったが、店内には屋台時代に苦楽を共にしたリヤカーを運び込み、そのままカウンターとして利用。屋台の風情にこだわり続ける店主を訪ねてみた。

 店主の内山俊二さん(44)が長浜地区で屋台を始めたのは12年ほど前。「当時は屋台の調理に慣れず、強風で火が消えるなどハプニング続きで、日々勉強だった」と振り返る。

 店を開け続け、常連客にも支えられていたが、公募制度で選考外に。想像もしていなかった事態を迎えたが「落ち込んでいても仕方ない」と昨年6月、再起を誓い、屋台を構えていた場所近くにあるビルの一室に入居。長年使った屋台道具も持ち込んだ。天井裏や柱には、常連客のメッセージや名刺が張られ、屋台の面影もそのままだ。

 屋台に比べて座席数は約3倍に増え、メニューも屋台では出せなかった刺し身などが加わったが、大切なのは「隣同士で自然と言葉を交わせる絶妙な距離感」と内山さん。

 コの字型カウンターにして、客同士が会話しやすい店作りにした。「やっぱり、こうでなくっちゃね」。屋台のころからの常連客の声を聞いた内山さんは「心機一転、これまで築いた縁を大事に今後も新たな目標に向かって頑張りたい」。赤ちょうちんが温かく迎えてくれる屋台のぬくもりを持ったまま、今日ものれんを掲げる。

=2018/01/13付 西日本新聞朝刊=

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