原発ゼロ法案 国民的議論深める契機に

西日本新聞

 小泉純一郎、細川護熙両元首相が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子案を発表した。

 東京電力福島第1原発事故から間もなく7年になる。福島では今なお県内外に5万人以上が避難しており、復興もまだ道半ばだ。

 火山列島に位置し地震も頻発する日本では決して「人ごと」ではない。原発への依存度をできる限り下げていく「脱原発」は一つの大きな流れだろう。にもかかわらず原発を巡る国民的な議論は必ずしも活発だとは言い難い。その意味で今回の骨子案を、国民的議論を深めるきっかけにしたい。

 骨子案には、国内全原発の即時停止▽再稼働や新増設の禁止▽核燃料サイクル事業からの撤退▽原発輸出の中止▽自然エネルギーの電力比率目標を2030年までに50%以上、50年までに100%-などが盛り込まれた。

 現状を勘案すれば大胆な考え方や数値目標だが、それぐらい思い切った政策判断をしなければ「脱原発」へシフトするのは難しい-という危機感の表れでもあろう。

 政府は14年閣議決定のエネルギー基本計画で可能な限り原発依存度を低減するとした。同時に、原子力を「重要なベースロード電源」と明記した。また、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発は地元合意を得て再稼働させる方針で、既に九州電力川内1、2号機などが再稼働している。

 経済産業省が検討中のエネルギー基本計画の見直しでは、原発新増設や老朽原発の運転延長もテーマになるという。「脱原発」どころか「原発回帰」の様相だ。

 全原発の即時停止について共同通信社の最新世論調査では賛成が49・0%、反対は42・6%と拮抗(きっこう)した。小泉氏は「原発ゼロに全力で取り組むなら、どの政党にも協力する」と語り、国民運動として取り組む考えを示す。立憲民主党も「原発ゼロ基本法案」の骨子をまとめ、国会提出の予定だ。22日召集の通常国会で、与野党はぜひ徹底的に論議してほしい。


=2018/01/16付 西日本新聞朝刊=

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