亡くなった幼い弟を背負った少年が、直立の姿勢で火葬の順番を待っている…

西日本新聞

 亡くなった幼い弟を背負った少年が、直立の姿勢で火葬の順番を待っている。原爆投下後の長崎で撮影された写真「焼き場に立つ少年」

▼「かみしめて血のにじんだ唇が悲しみを伝えている」。ローマ法王フランシスコは昨年末、この写真の裏に「戦争が生み出したもの」と書いて配布するように指示した

▼昨年は、核兵器の非人道性を訴え、廃絶を求める動きが世界に広がった。国連で核兵器禁止条約が採択され、実現に尽力した国際非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞した。ローマ法王の異例の指示も、この流れをさらに加速させたいとの思いからだろう

▼ICANのフィン事務局長が来日し、長崎、広島を訪れた。フィンさんは「二つの日本があると感じた」と述べた。「長崎や広島など核廃絶を求める側」と「核がなければ国を守れないと考える政府」だ

▼唯一の戦争被爆国でありながら、日本は同条約に背を向けた。フィンさんは来日中に安倍晋三首相に面会したいと求めていた。しかし、政府は「日程の都合」を理由に断った

▼安倍首相は17日まで欧州を歴訪。リトアニアでは、ナチスに迫害されたユダヤ難民の命を救った外交官、杉原千畝(ちうね)の記念館を訪ね「日本人として誇りに思う」と話した。多くの命を奪う核兵器の廃絶に取り組む人たちのことも誇りに思ってほしい。ぜひ、少年の写真を手にして。


=2018/01/17付 西日本新聞朝刊=

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