中小企業の支援 ものづくりの基盤を守れ

西日本新聞

 2017年版「中小企業白書」は衝撃的な内容だった。業績不振にとどまらず、経営者の高齢化や人材不足などの影響で16年の休廃業・解散企業数は全国で過去最多の約3万件に上ったという。

 九州も例外ではない。大分県日田市の日田商工会議所などが行ったアンケートでは、市内中小企業の2割近くが後継者難などを理由に将来の廃業を検討していた。昨年7月の九州豪雨の被災地でも、事業の継続を危ぶむ中小企業が少なくないという。

 国内にある中小企業の数は企業全体の99・7%を占める。従業員数でも「3人に2人」の割合だ。現状を座視すれば、国内経済の基盤が崩壊する恐れもある。

 中小企業支援は経済活性化の喫緊の課題だ。こうした危機感を背景に、官民挙げて支援に乗り出す動きが表面化してきた。

 投資ファンド運営のドーガン(福岡市)は昨年10月、九州と中四国の中堅・中小企業の事業再生を支援するファンドを設立した。

 地方銀行をはじめ地場の事業会社が幅広く出資し、資金の地域循環を目指している。このような形の再生支援ファンドは全国的にも珍しいという。

 後継者問題を抱える企業の事業を継承し、新規事業への投資や過去の負債の整理をサポートして経営が引き継ぎやすいようにする。

 政府も中小企業の後継者確保を後押しするため、「事業承継税制」の拡充を決めた。

 経営を親族や従業員らが引き継ぐ場合、先代から譲り受けた株式の相続税などを全額猶予する。

 10年間に限った特例的な税優遇として予算措置や低金利融資と組み合わせ、中小企業の代替わりを集中的に支援する。

 引退の平均年齢とされる70歳を超える中小企業の経営者は今後10年間で245万人に上るという。

 日本経済の強みである「ものづくり技術」を継承することは地域活性化のためにも欠かせない。

 高齢化する経営者の後継者難のみならず、多角的な視点から中小企業の支援策を考えたい。


=2018/01/17付 西日本新聞朝刊=

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