新幹線トラブル JR全体で危機感共有を

西日本新聞

 広島県と岡山県を走行中の新幹線2本で16日、乗務員が異常音や異臭を感知して車両を点検するトラブルがあった。JR西日本によると、いずれも原因は特定されず、同社で引き続き調べている。

 新幹線を巡っては、博多発東京行きのぞみ34号で車両の台車に亀裂が入る大きなトラブルが昨年12月にあったばかりだ。新幹線は本当に大丈夫か。そんな不安を改めて感じた人も少なくないだろう。

 のぞみ34号のトラブルでは実態が明らかになるにつれ、車両を所有するJR西の安全管理体制の不備が浮き彫りとなっている。

 同社は2005年に乗客106人が亡くなった尼崎JR脱線事故を起こしている。その時の反省と教訓が生かされていなかった。

 最も深刻なのは多くの異変を認識しながらも列車を走らせ続けたことだ。のぞみ34号は小倉駅で焦げた臭いのする異常が発生した。

 その後も異臭などがしたにもかかわらず、現場と指令員が停止判断を他人任せにし、名古屋駅で運休するまで約3時間運転した。

 新大阪駅でJR西からJR東海に引き継ぐ際も、走行に支障はないと伝達していたという。

 JR西は尼崎JR脱線事故後、判断に迷ったときは「最も安全と認められる行動をとらなければならない」との「安全憲章」を定めている。一連の経緯を振り返る限り、列車運行の現場まで浸透していなかったと言わざるを得ない。

 新幹線を走らせる他のJR各社にとっても人ごとではない。

 16年3月に北海道新幹線が開業し、九州から北海道まで新幹線での移動が可能になった。JR九州からJR北海道までJR5社が走らせ、東海道・山陽新幹線はJR西と東海が相互に乗り入れる。

 走行区間で担当する会社が違っても乗客には関係ないことだ。公共輸送機関の使命は乗客を安全に目的地へ送り届けることにある。

 安全運行に関する情報を各社が共有し、未然に事故を防ぐ体制を再点検すべきだ。新幹線の信頼回復に向け、JR全体で使命感と危機感を共有してほしい。


=2018/01/18付 西日本新聞朝刊=

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