今年は「明治150年」…

西日本新聞

 今年は「明治150年」。政府や地方自治体はさまざまなイベントを予定している。旗振り役は安倍晋三首相だ。明治維新の原動力となったのは長州と薩摩。かつての長州である山口県出身の首相は格別の思い入れがあるとも聞く

▼忖度(そんたく)でもあるまいが、今年のNHK大河ドラマは、維新の立役者の一人、薩摩の西郷隆盛が主人公だ。西郷といえば、東京・上野公園にある愛犬ツンを連れた銅像が思い浮かぶ。今年の干支(えと)にもぴったりか

▼西郷がかわいがったのは鹿児島原産の薩摩犬。当時の薩摩では、イノシシ狩りの猟犬として活躍したという。ドラマの中で西郷が連れている犬は、実は四国犬だとか。純粋な薩摩犬は既に絶滅していて、毛並みのよく似た四国犬が起用されたそうだ

▼「犬たちの明治維新 ポチの誕生」(仁科邦男著)によると、明治以降、昔ながらの日本犬は次々と姿を消した。洋犬が輸入され、交雑が進んだことが一因。もう一つ、悲しい歴史もある

▼戦時中、物資が不足し、兵器や砲弾の材料にするため、国民は鍋や釜など金属の供出を求められた。犬たちも、天然記念物に指定されていた秋田犬などを除き、供出の対象となった。毛皮が帽子や靴、手袋などの軍用品に使われた

▼特攻隊基地のあった鹿児島では、犬の供出が徹底して行われ、薩摩犬の絶滅につながったという。西郷と愛犬の姿を見たときは、そんな歴史も思い出したい。


=2018/01/19付 西日本新聞朝刊=

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