「米国第一」予測不能 トランプ大統領2年目 内外で強硬策加速? 中間選挙へ成果に躍起

西日本新聞

 【ワシントン田中伸幸】米国のトランプ大統領が20日、就任2年目に入った。この1年、トランプ氏は既存政治の打破を声高に叫び、オバマ前政権時の政策を次々と否定してきた。だが、代替策を打ち出せず先送りしている課題は多い。公約実現が進まない現状を「(野党)民主党のせい」と主張するトランプ氏だが、与党共和党と自身への審判となる議会中間選挙を11月に控え、その勝利には目に見える実績が不可欠だ。決戦の秋へ向け、一段と強引な政権運営が予想される。

 「脱オバマ」政策の典型は、メキシコ国境での壁建設をはじめとする移民流入規制だ。20日からの政府機関の一部閉鎖を招いたつなぎ予算案審議の混乱は、親に連れられて不法入国した若者の強制送還を猶予した前政権の措置について撤廃を打ち出したトランプ氏と、これに猛反発する民主党との対立が主な原因だ。

 トランプ氏は19日、ツイッターで「民主党は不法移民と弱い国境(警備)を求めている。中間選挙ではもっと多くの共和党議員の勝利が必要だ」と主張。その一方で民主党との妥協策を探ったが失敗した。移民を巡る一連の問題も未解決のまま先送りされた格好となった。

 今後、トランプ氏と与野党とで事態打開へ向けた調整が続くが、白人労働者層などトランプ氏支持層の多くは移民流入の規制強化を望んでいる。こうした声を無視できないトランプ氏が秋の選挙に向け、安全対策の名の下に強硬姿勢を示し続けるのは必至だ。

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 トランプ氏は通商政策でも「米国第一主義」を前面に掲げ、各国に譲歩を迫ろうとしている。

 23日に協議を再開するカナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では離脱の意向をちらつかせながら、人件費の安いメキシコで製造される米国向け乗用車に現行より多くの米国産部品を使うよう要求。米韓自由貿易協定(FTA)も韓国が難色を示したにもかかわらず強引に再交渉に持ち込んだ。

 そうした中で注目されるのが、米国最大の貿易赤字国であり、トランプ氏が経済圧力の強化を公約に掲げた中国への対応だ。

 トランプ氏は北朝鮮問題を巡り、中国の習近平国家主席とたびたび電話会談しているが、15日には習氏に「貿易赤字の拡大が続いている」と不満を表明した。

 トランプ氏は中国の知的財産権侵害に対して米通商法301条に基づき制裁を検討しているとされる。これに中国が対抗すれば「貿易戦争に発展しかねない」との指摘も。ある日本企業の米国駐在員は「中国で思うような成果が挙げられない場合、日本に矛先を変えて巨額のエネルギー輸入などを迫ってくる可能性もある」と警戒心を隠さない。

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 米国内では昨年秋以降、共和党優勢地区の上院補選や地方選で民主党候補の勝利が相次ぎ、共和党内には「国民が実感できる成果を出さないと中間選挙で負ける」(議会筋)との危機感が広がる。共和党はトランプ氏と連携し、上下両院での過半数維持を目指して、昨年末の大型減税に続く公約実現を果たしたいところだが、内政、外交の両面でトランプ氏の高圧的な政治手法がどこまで奏功するか懐疑的な見方もあり、党内には常に異論がくすぶる。

 「トランプ氏だけでなく側近も強硬論者が幅をきかせている」。米外交当局者はこう嘆く。「米国混迷」の出口は見えない。

=2018/01/21付 西日本新聞朝刊=

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