「闘将」が夢見た野球の未来

西日本新聞

 「どうやって子どもたちが野球をやる環境をつくっていくか。プロもアマチュアも関係なく、野球の底辺を広げることを考えていかないといけない。これが私の夢」

 プロ野球楽天の星野仙一副会長が亡くなる約1カ月前のことだ。自身の野球殿堂入りを祝うパーティーで星野さんはプロとアマの球界関係者を前に、こう熱く語った。

 現役時代は中日のエースとして「燃える男」、中日、阪神、楽天の監督では「闘将」と呼ばれた星野さんらしい言葉である。夢半ばとなっただけに、故人もきっと心残りだったに違いない。

 今、子どもたちの間で「野球離れ」が顕著になっているという。公益財団法人日本中学校体育連盟によると、2017年の軟式野球加盟生徒数(男子)は約17万4千人で、07年の約30万5千人と比べて4割以上も減っている。

 少子化の影響もあるが、それだけではない。サッカーやバスケットなどは横ばい状態にあるからだ。そういえば、校庭や公園で子どもたちが野球をしたり、親子でキャッチボールをしたりする姿が最近めっきり減った。

 ボール一つで始められるサッカーやバスケットボールと違い、バットやグラブなど高価な道具が必要な野球にはお金がかかる。安全性の観点から野球を禁止する公園も少なくない。上下関係の厳しさなども影響しているという。

 さまざまな競技が注目されるようになり、以前のように人気が野球へ集中しなくなった。多様化が進んだということだろうが、野球関係者にとっては深刻な事態だろう。

 日本の球界は60年近く前のプロ球団によるアマ選手引き抜きに端を発し、プロとアマの断絶状態が続く時期があった。プロ野球選手がアマ選手を指導することも厳しく規制された。徐々に改善はしてきたが、プロ・アマを問わず参加する大会もあるサッカーに比べればまだ不十分だ。

 星野さんの夢を実現するには、プロとアマの組織統合も含め球界の大胆な改革が不可欠だと思う。


=2018/01/21付 西日本新聞朝刊=

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